中間人物論批判(読み)ちゅうかんじんぶつろんひはん

改訂新版 世界大百科事典 「中間人物論批判」の意味・わかりやすい解説

中間人物論批判 (ちゅうかんじんぶつろんひはん)

1962年8月,中国作家協会は大連で〈農村題材とする短編小説座談会〉を開催,周揚茅盾(ぼうじゆん),趙樹理ら文芸界の指導的な作家,評論家17名が参加した。当時,作家協会副主席で党組書記の邵荃麟(しようせんりん)(1906-71)が会を司会したが,彼はリアリズム論に立脚して題材と創作方法の多様化を主張し,大躍進運動(1958)以来の主観主義的な創作傾向,作品の概念化,公式化に反対した。このとき邵荃麟は〈両端は小さく,中間は大きい〉という茅盾の発言を引いて,中間にあって矛盾を抱えている農民像をリアルに描くことを提起した。この主張は〈中間人物描写論〉として,64年以来くり返し批判され,文化大革命中には〈文芸の黒い糸〉の一つとして非難された。だが,それは彼個人の意見ではなく,政治・経済・文化全般にわたる1960年代前半の,劉少奇を中心とする中共党指導部による調整政策の,文芸面での適用であった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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