絹織物の一種。着尺用で沖縄県久米島産。江戸時代,1637年(寛永14)薩摩藩の属国となった琉球国が貢納布として久米島で織りはじめ,琉球紬といわれた。平織で経糸を絹,緯糸を真綿手紡糸で織ったものと,経緯とも真綿手紡糸使用のものがある。黒褐色,赤茶を主に黄,うぐいす色,灰色を組み合わせ,絣が多く,縞もある。島産のテカチ(シャリンバイ)やグール(サルトリイバラ),ヤマモモなど植物染料と泥染の手法を用い,高機(たかはた)で織って砧(きぬた)打ちの仕上げをする。色が落ちにくく,地質は柔軟,光沢があって雅味豊かな風合いをもつ。第2次大戦前の全盛期は年間4万反の生産があったが大戦中は衰退,戦後1956年ころより復活し75年で6500反と発展しつつある。
執筆者:宮坂 博文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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