ヤマモモ(読み)やまもも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマモモ」の意味・わかりやすい解説

ヤマモモ
やまもも / 山桃
[学] Morella rubra Lour.
Myrica rubra Sieb. et Zucc.

ヤマモモ科(APG分類:ヤマモモ科)の高木。高さ15~20メートル。枝はもろく、多くの細枝がある。葉は長さ5~10センチメートルで広倒披針(ひしん)形または倒披針形、革質で先がとがる。成木は全縁または浅い鋸歯(きょし)があり、実生(みしょう)の幼苗期は葉縁の切れ込みが深い。雌雄異株。3月ころ葉腋(ようえき)に発育した花穂は、雌花序は長さ1~2センチメートルの棒状になり、柱頭は紅色で2裂した雌しべを4~5個つけ、雄花序は長さ3センチメートルの長い筆の穂先状になり、多量の花粉を飛ばす。果実は径1.5~2センチメートルの球形で、6~7月に成熟する。果色は濃紅赤色、赤色、帯淡紅白色などがある。甘・酸味が強く多汁で、生食のほか、砂糖漬け、焼酎(しょうちゅう)漬けにする。ジュースは淡紅色になる。樹皮は乾燥し楊梅皮(ようばいひ)とし、下痢や打撲症に効く。また諸媒染剤により、茶、黄、黄金、褐、緑黒色などの染料にする。関東地方以西から九州、および台湾を含む中国暖地に分布し、山地に生える。

[飯塚宗夫 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマモモ」の意味・わかりやすい解説

ヤマモモ(山桃)
ヤマモモ
Myrica rubra

ヤマモモ科の常緑高木。本州中部以南から台湾にかけての海に近い山地に自生し,また防風樹として人家に栽植される。幹は直立して高さ 15mに達し,多数分枝する。葉は小枝に密に互生し,長楕円形ないし倒披針形,基部は楔形,革質で下面にはまばらに小腺点がある。雌雄異株。春,前年に出た枝の葉腋に,花を短い穂状につける。雄花穂は黄褐色で,雄花には数本のおしべがある。雌花には紅色の1本のめしべがあって,花柱は2裂する。果実は球形の核果で,夏に暗紅紫色に熟し食べられるが,腐りやすい。樹皮は皮膚病薬,毒消しなどとし,また樹皮の煎じ汁は殺虫剤や染料とされる。徳島県では県木,高知県では県花として親しまれている。

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