乙父村(読み)おつちむら

日本歴史地名大系 「乙父村」の解説

乙父村
おつちむら

[現在地名]上野村乙父

北部に笠丸かさまる(一一八九・一メートル)があり、北流する乙父沢などを合して神流かんな川が村央を東流し、左岸十石じつこく街道が通る。東は乙母おとも村・川和かわわ村、北は桧沢ひさわ(現甘楽郡南牧村)、西は楢原ならはら村、南は野栗沢のぐりさわ村と武蔵国秩父ちちぶ大滝おおたき(現埼玉県秩父郡大滝村)と接する。村名は木曾義仲の遺臣今井四郎兼平の郎党夫婦が今井氏の幼童を奉じて逃落ちた翁の居所にちなむという。一説では古くは乙母村と一村遠西とおにし村と称したといい、宝蔵ほうぞう寺蔵大般若経の貞治二年(一三六三)の奥書に「上州上山遠西村」とある。泉龍せんりゆう寺蔵大般若経巻四五一の永徳二年(一三八二)の奥書に寄進者四郎五郎の在所に「越智」とあり、近世には枝村となる柿平かきだいらは巻二八一の同年の奥書に「かき平」、小春おばるは巻一二一の永徳元年の奥書に「おはる」、また字於路瀬おろせは巻一一一・巻三二一に「おろ世」とあり、字森戸もりとは同経奉納先の森戸大明神(現乙父神社)があったために散見する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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