埼玉・群馬・長野の県境にまたがる
文明一八年(一四八六)八月、聖護院道興は「かみ長川」などの名所を経て「おしまの原」(現本庄市)へ向かっているが(廻国雑記)、かみ長川は神流川のこととされる。「河越記」には「加美の川」と記される。天正八年(一五八〇)一二月一日、
上野・信濃・武蔵三国の国境にあった三国山(一八一八メートル)の北麓、
元禄一一年(一六九八)幕府が国絵図改を実施した際、古絵図に山中領と武州秩父との境が落ちていたことから上武国境論争が展開された。幕府は
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
群馬・埼玉・長野3県境の三国山の北斜面に源を発し,群馬・埼玉県境付近を北東流して埼玉県上里町,群馬県玉村町の境付近で利根川支流の烏(からす)川に注ぐ川。全長76.9km,流域面積407km2。流路の大部分が関東山地の中生代,古生代の古い地層でおおわれる。上流部はほぼ東西方向の山中(さんちゆう)地溝帯を流れ,中流部には三波石(さんばせき)峡に見られる美しい緑色片岩が分布する。三波石峡のすぐ上流に下久保ダム(1967竣工)があり,神流湖をたたえる。ダムは堤高129m,有効貯水量1億2000万m3。発電(下久保発電所,最大出力1万5000kW),水道用水,工業用水,灌漑,洪水調節などの多目的ダムで,水資源開発公団(現,独立行政法人・水資源機構)が管理している。江戸時代に信州の米を関東に運んだ十石峠街道はこの川の谷を通っている。
執筆者:有末 武夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
群馬県南西部を流れる川。一級河川。関東山地の三国(みくに)山北方に源を発して北流し、やがて東流に変じ蛇行しつつ多野(たの)郡神流町を過ぎ、埼玉県境を流れて烏川(からすがわ)に合流し、利根川(とねがわ)に注ぐ。延長87.4キロメートル、流域面積407平方キロメートル。昔、上流の野栗(のぐり)集落(上野村)に疫病が流行したとき、御神体の髪を流したことからこの名が出たという伝説がある。流域は古い岩石の長瀞(ながとろ)系、秩父中・古生層および白亜系で、上流に山中(さんちゅう)地溝帯、中流に三波石峡(さんばせききょう)があり、川沿いの十石峠(じっこくとうげ)街道も難所が多かったが現在は改善された。1967年(昭和42)下久保ダム(しもくぼだむ)と神流湖ができ、東京の上水源の一つとして脚光を浴びている。
[村木定雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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