事業仕分け(読み)じぎょうしわけ

知恵蔵 「事業仕分け」の解説

事業仕分け

行政の事業の必要性ややり方を公開の場で外部の視点を入れて問い直すことで、硬直化した国や自治体の事業を再構築するための手法。歳出削減を目指す政府の行政刷新会議が、2010年度の予算編成の際に採用して注目された。非営利の政策シンクタンク「構想日本」が02年に行政改革を目的として始めた手法で、自治体を中心に実績を上げてきた。
行政刷新会議の事業仕分けでは、各府省の概算要求に盛り込まれた事業のうち約450事業を対象に、事業ごとに「そもそも必要な事業か」「国が担うべきか地方が担うべきか」「来年度行う必要があるか」「事業内容などに改革余地があるか」などの観点から評価し、「予算要求通り」「予算縮減」「見直し」「廃止」などに仕分けた。仕分け作業は、国会議員学者、自治体職員らからなる3チームが、9日間にわたって行った。各府省による事業の説明と財務省による査定の説明の後、評価者(仕分け人)が質疑議論を経て各自評価シートに結果と理由を記載し、それらを集約してチームの結果を公表する流れで、一連の作業時間は約1時間。仕分け作業は公開され、インターネットでも中継された。会場多くの傍聴者が訪れるなど、国家予算の編成過程に国民関心が集まった。事業仕分けの結果に法的強制力はなく、この結果を判断材料の一つとしてどのような予算を組むかは政治家責任である。

(原田英美  ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディア 「事業仕分け」の意味・わかりやすい解説

事業仕分け【じぎょうしわけ】

民間シンクタンク「構想日本」が手がける予算の無駄を洗い出す手法で,2002年から地方自治体を対象にスタートし,多くの自治体の予算効率化に貢献した。首長経験者ら複数の「仕分け人」が対象事業を事前に調べ,一般公開の場で自治体担当者と議論したうえで,「その事業が本当に必要か」を採決する。自治体側は採決を「参考」にして,予算のあり方を練り直す。事業仕分けが国民的な反響を呼んだのは,政治主導を掲げて2009年9月に発足した鳩山由紀夫内閣で,行政刷新会議が,国家歳出の無駄の削減にこの手法を導入したことによる。
→関連項目独立行政法人

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