独立行政法人(読み)どくりつぎょうせいほうじん

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

独立行政法人

「独立行政法人」とは政府事業のうち、大学、博物館、病院、研究機関など、独立して運営した方が効率的な部門を分離独立させた法人のことである。同法人は主務官庁から必要資金である運営交付金を受け取るが、使用使途は独自の裁量に任され、また組織の再編に関する決定権も持つ。一方、財務諸表を作成し、交付金の額面調整、組織の存続も含め外部の委員会から業績のチェックを受けなければならないという縛りもある。2001年に、57の独立行政法人が発足し、以後、徐々に拡大している。なお、2004年から、国立大学も独立行政法人に移行している。

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知恵蔵の解説

独立行政法人

1999年の第145通常国会において、中央行政機構改革の一環として、独立行政法人通則法が成立した。これに基づき中央省庁の現業部門、試験研究機関、博物館、美術館などを、独立の法人格を持つ機関へと改めることが決定された。独立行政法人は、主務大臣の定める中期目標に応じて中期計画を作成し、業務を遂行する。また会計原則として複式簿記などの企業会計的手法を導入し、原則として企業監査人の監査を受ける。法人の長は、高度の知識・経験を有する者の中から公募を含めて任命する。99年12月、第146国会において独立行政法人個別法が成立し、2001年4月から国立公文書館、産業技術総合研究所など57法人が発足。また99年4月に閣議決定された中央省庁等改革の推進に関する方針に基づき、財務省の造幣局と印刷局は03年4月1日から独立行政法人化された。また国立病院・療養所が、04年度から独立行政法人となり、国立大学と国立の共同研究機構も04年度から、国立大学法人法の下で独立の法人となった。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

独立行政法人

国の仕事のうち、民間に委ねたら実施されない恐れがある事業を、国から独立したで行う法人。国の出先機関特殊法人の業務を移管する形で01年に設立された。情報公開によって経営努力を促し、効率化を図る狙いがあった。現在は102法人あり、07年度は総額3兆5千億円の国費が投入された。「官僚の天下り先」「随意契約が多い」などの批判があり、政府が整理合理化する方針を決定した。

(2007-12-20 朝日新聞 朝刊 政策総合)

独立行政法人

各省庁が直接手がけないが、ある程度、国の関与が必要とされる事業を独立した会計で担う法人。橋本内閣行政サービスの効率化などを目的に省庁再編とともに導入を決め、2001年制度が始まった。現在、104法人ある。1999年制定の独立行政法人通則法で、設立方法や運営規則が定められ、所管する省庁の第三者評価委員会が業務・組織全般の定期的な見直しを行うことになっている。

(2010-04-24 朝日新聞 朝刊 2総合)

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デジタル大辞泉の解説

どくりつ‐ぎょうせいほうじん〔‐ギヤウセイハフジン〕【独立行政法人】

政府の行政活動から一定の事務・事業を分離し、担当する機関に独立の法人格を与えて、実務の効率化等を図る制度。国民生活・社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業ではあるが、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの、または独占的に行うことが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される。業務の特性に応じて、中期目標管理法人国立研究開発法人行政執行法人に分類される。独法
[補説]独立行政法人の一覧(平成30年4月1日現在。*印は行政執行法人)
内閣府所管
国立公文書館
北方領土問題対策協会
日本医療研究開発機構

消費者庁所管
国民生活センター

総務省所管
情報通信研究機構
統計センター
郵便貯金・簡易生命保険管理機構

外務省所管
国際協力機構
国際交流基金

財務省所管
酒類総合研究所
造幣局
印刷局

文部科学省所管
国立特別支援教育総合研究所
大学入試センター
国立青少年教育振興機構
国立女性教育会館
国立科学博物館
物質・材料研究機構
防災科学技術研究所
量子科学技術研究開発機構
国立美術館
国立文化財機構
教職員支援機構
科学技術振興機構
日本学術振興会
理化学研究所
宇宙航空研究開発機構
日本スポーツ振興センター
日本芸術文化振興会
日本学生支援機構
海洋研究開発機構
国立高等専門学校機構
大学改革支援・学位授与機構
日本原子力研究開発機構

厚生労働省所管
勤労者退職金共済機構
高齢・障害・求職者雇用支援機構
福祉医療機構
国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
労働政策研究・研修機構
労働者健康安全機構
国立病院機構
医薬品医療機器総合機構
医薬基盤・健康・栄養研究所
地域医療機能推進機構
年金積立金管理運用独立行政法人
国立がん研究センター
国立循環器病研究センター
国立精神・神経医療研究センター
国立国際医療研究センター
国立成育医療研究センター
国立長寿医療研究センター

農林水産省所管
農林水産消費安全技術センター
家畜改良センター
農業・食品産業技術総合研究機構
国際農林水産業研究センター
森林研究・整備機構
水産研究・教育機構
農畜産業振興機構
農業者年金基金
農林漁業信用基金

経済産業省所管
経済産業研究所
工業所有権情報・研修館
産業技術総合研究所
製品評価技術基盤機構
新エネルギー・産業技術総合開発機構
日本貿易振興機構
情報処理推進機構
石油天然ガス・金属鉱物資源機構
中小企業基盤整備機構

国土交通省所管
土木研究所
建築研究所
海上・港湾・航空技術研究所
海技教育機構
航空大学校
自動車技術総合機構
鉄道建設・運輸施設整備支援機構
国際観光振興機構
水資源機構
自動車事故対策機構
空港周辺整備機構
都市再生機構
奄美群島振興開発基金
日本高速道路保有・債務返済機構
住宅金融支援機構

環境省所管
国立環境研究所
環境再生保全機構

防衛省所管
駐留軍等労働者労務管理機構

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百科事典マイペディアの解説

独立行政法人【どくりつぎょうせいほうじん】

中央省庁の本体機構から独立した法人として行政サービスの実務業務を行う機関のことで,1998年6月に成立した中央省庁等改革基本法により導入が決まった。1988年にイギリスのサッチャー政権が導入したエージェンシー制をモデルにしており,国家公務員の定数を削減することで行政機構をスリム化し,経営感覚を持った法人とすることで行政サービス実務の効率化を実現することを目的とする。1999年4月に閣議決定された行政組織のスリム化計画により,国立公文書館,航空宇宙技術研究所,国立科学博物館,国立文化財研究所国立博物館,国立近代美術館,農業研究センター,工業技術研究所,国立病院など90の機関・業務が2001年4月に独立行政法人へ移行,さらに2004年4月に国立大学の独立行政法人化(国立大学法人への移行)も実行された。これら独立行政法人の運営などの制度の基本となる共通の事項は,独立行政法人通則法(1999年)に定められている。役職員が国家公務員である特定独立行政法人とそれ以外のものに分類される。法人化することで企業会計が導入され,また代表への人事権付与などが可能となり,効率化・独立性を評価する一方,これで実質的な公務員削減になるのか,福祉・学術研究分野に経済効率化はなじむのかなど異論を唱えられた。2010年4月現在,104の独立行政法人がある。地方公共団体が〈地方独立行政法人法〉(2003年)にもとづいて設立した地方独立行政法人もある。ただし,公立大学は〈公立大学法人〉と称する。しかし,2000年代後半,行政のムダの削減や行政サービスの改善についての国民の意識の高まりのなかで,公益法人や特殊法人とともに,独立行政法人についても,コスト感覚の欠如,業務の非効率が指摘され,国家公務員の天下り先の温床,税金のムダ使いなどの批判が相次いだ。2009年9月,政権交代を果たして発足した,鳩山由紀夫内閣は行政刷新会議を設けて,事業仕分けに着手,独立行政法人も遡上に乗せて,改革に着手している。→規制緩和行政改革特殊法人
→関連項目学位授与機構グリーン購入法公共団体高等専門学校国際協力機構国際交流基金国民生活センター国立公文書館国立国語研究所産業技術総合研究所情報公開法森林総合研究所水産大学校造幣局大学(教育)日本司法支援センター日本道路公団理化学研究所

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産学連携キーワード辞典の解説

独立行政法人

「独立行政法人」とは、各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、独立の法人格を与えた機関のことを指す。「独立行政法人」は、主務大臣から与え られた中期目標を達成するための中期計画を作成し、業務運営を行う。現在、研究機関や美術館、博物館等が独立行政法人化された他、国立病院、造幣局、印刷局等の法人化は決定している。また、2003年7月国立大学法人法案が国会を通過した。

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大辞林 第三版の解説

どくりつぎょうせいほうじん【独立行政法人】

中央省庁から分離・独立した法人。政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えた組織。独法。 〔中央省庁改革に伴い、2001 年(平成 13)から設立が始まった〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

独立行政法人
どくりつぎょうせいほうじん

行政機能のうち,企画,立案,調整の部門を省庁に残し,許認可事務などの執行部門を分離・独立させ運用する機関。エージェンシー,外庁ともいう。民間のノウハウを導入し,中央省庁から独立した組織として人事や事業運営に大幅な裁量権を与え,運営効率を高めるのがねらい。1980年代にイギリスのサッチャー政権下で導入されたのが代表的な例で,100以上の部門がエージェンシーに移され,1995年にはイギリスの全国家公務員の約 7割がエージェンシー所属となった。日本では 1996年6月に自由民主党の行政改革推進本部がまとめた「橋本行革の基本方向について」(橋本行革ビジョン)に取り上げられ,首相直轄の行政改革会議で検討され,1998年の中央省庁等改革基本法制定により実現した。2015年現在 98の独立行政法人が発足している。その運営の基本事項は独立行政法人通則法および個別法に定められる。2014年の独立行政法人通則法の改正によって,中期目標管理法人,国立研究開発法人,行政執行法人の三つに分類された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

独立行政法人
どくりつぎょうせいほうじん

国から独立し、公的な事務および事業を実施する法人。すなわち、国民生活および社会経済安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な行政事務および事業のうち、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののなかで、民間の主体にゆだねた場合には実施されないおそれがあるもの、または一つの主体に独占して行わせることが必要であるもの(公共上の事務等)を効率的かつ効果的に実施させるために設立された法人をさす。独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)および個別法(たとえば、独立行政法人酒類総合研究所法、国立研究開発法人国立環境研究所法、独立行政法人日本学生支援機構法など)の定めるところより設置される。
 独立行政法人には、中期目標管理法人、国立研究開発法人および行政執行法人の三つの類型がある。2017年(平成29)4月1日時点では、独立行政法人の数は87法人であり、そのうち、中期目標管理法人は53法人、国立研究開発法人は27法人、行政執行法人は7法人となっている。独立行政法人は、独立採算制をとらないが企業会計原則が導入され、そのような制度設計に対応する厳しい評価制度が用意されている。イギリスのエージェンシーをモデルにしているといわれるが、似ているところはあるものの、実態はかなり異なっている。
 独立行政法人ではないが、独立行政法人通則法が準用される法人として、国立大学法人法に基づいて設立される国立大学法人および大学共同利用機関法人、総合法律支援法に基づいて設立される日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団法に基づいて設立される日本私立学校振興・共済事業団がある。
 独立行政法人は、行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって制定された中央省庁等改革基本法(1998年6月施行)に基づき、国の組織の再編成、国の行政事務および事業の減量化や効率化等の改革(「中央省庁等改革」)の一環として設立された(独立行政法人制度が発足した2001年に57法人が設立)。すなわち、独立行政法人は、行政機能のアウトソーシングを実施する仕組みの一つとして位置づけられ、行政機能を「企画立案機能」と「政策実施機能」に分けて、前者の機能は国が担い、後者の機能を独立行政法人が担うこととされた。また、「政策実施機能」を国とは別の法人である独立行政法人に実施させることで、業務の効率性、業務の質の向上、自律的な業務運営や業務の透明性を確保することが期待された。「政策実施機能」のうち、公権力の行使に係る事務・事業については国が直接主体として実施することとされたため、独立行政法人設立時には、公権力の行使を伴わない試験研究機関が中心となって独立行政法人化された(酒類総合研究所、経済産業研究所、建築研究所、国立環境研究所など)。
 行政改革会議の最終報告では、特殊法人等の独立行政法人化も検討課題とされていた。これを受けて、特殊法人等改革基本法(2001年6月施行)に基づき、「特殊法人等整理合理化計画」が策定され、2003年に、163の特殊法人および認可法人のうち38法人が、新たに36の独立行政法人として設立されることになった(国民生活センター、国際協力機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構など)。また2004年以降も、特殊法人等の独立行政法人への移行が行われた。独立行政法人は、中央省庁等改革の一環として、行政機能のアウトソーシングのために設立されたものであるが、もともと国とは別の法人格を有していた特殊法人等の受け皿としても活用されている。
 2005年12月に閣議決定された「行政改革の重要方針」において国の特別会計の見直しの方針が示され、これを受けて、行政改革推進法(平成18年法律第47号。正式名称は「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」)において、国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神・神経センター、国立国際医療センター、国立成育医療センターおよび国立長寿医療センターを独立行政法人に移行させることが定められ(33条)、2010年4月に独立行政法人化された(それぞれ独立行政法人化する際に、国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立長寿医療研究センターと改称された)。
 独立行政法人の設立が進められてきた一方、他方では法人の事務・事業の見直し、業務運営の効率化の向上、法人の民営化・廃止や統合、地方への移管、職員の非公務員化などの検討や実施が積み重ねられてきた。独立行政法人が発足した2001年の法人数は57であり、2005年には113まで増加したが、その後、法人の廃止や統合が実施され、法人数は減少した。また、発足時の公務員型の独立行政法人は52法人であったが、2017年4月時点では7法人となっている。2014年には、独立行政法人のガバナンス(統治)を強化することなどを内容とする「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」(平成26年法律第66号)が成立した。同法は、独立行政法人の業務の特性に応じたガバナンスを構築するために、これまでの、役員および職員が公務員の身分を有する特定独立行政法人(公務員型の独立行政法人)と公務員の身分を有しない独立行政法人(非公務員型の独立行政法人)という分類を見直し、新たに、中期目標管理法人、国立研究開発法人および行政執行法人の三つの類型を設けることにした。さらに、政策のPDCAサイクル(PDCA:計画Plan、実施Do、評価Check、改善Action)を強化するため、主務大臣が目標を設定し、業務評価を行うことで、目標および評価の一貫性や実効性を向上させる仕組みなども導入された。[山田健吾]

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