二人兄弟(読み)ふたりきょうだい

改訂新版 世界大百科事典 「二人兄弟」の意味・わかりやすい解説

二人兄弟 (ふたりきょうだい)

たいてい双子の兄弟とされる,ヨーロッパの代表的な昔話。《グリム童話》では60番がこの話型である。女と犬と馬が同じ魚(またはリンゴ)を食べてそれぞれ双子を生む。犬と馬それぞれの双子を連れて旅に出た双子の兄弟は,ある所でお互いに相手の命が危険に陥ればそれを知らせる小刀などを交換して別れる。弟は竜を倒して王女と結婚するが,狩りの途上魔女に魔法をかけられて石になる。生命の指標で弟の危急を知った兄は救助に向かい,まず弟の妻のもとへ行く。妻は失踪した夫が帰ってきたものと思うが,兄は寝るとき彼女と自分の間に抜身の刀を置く(純潔の刀のモティーフ)。兄は魔女を制圧して弟の石化を解かせる。二人が戻ってきてはじめて,妻は抜身の刀の意味を知る。この話はブルガリアカシミールの間を原郷土とする〈バタ〉の話と共通部分が多いので,なんらかの関係があると考えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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