五位百法(読み)ごいひゃっぽう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五位百法」の意味・わかりやすい解説

五位百法
ごいひゃっぽう

唯識説を説く法相宗 (ほっそうしゅう) において,一切の事象を分類した分類法。倶舎宗では五位七十五法に分類したのに対して,ここでは 100に分け,しかも,あらゆる事象を実体としてとらえずに,根本の識に基づいた作用によって表わし出されたものとする教義である。したがって,これは,人間の心を克明に説明している一種の心理学である。第1に心王,8種。眼,耳,鼻,舌,身,意の六識と自我意識である末那識,その奥の阿頼耶識のこと。第2には,心所有法,51種。善悪をこえてあまねく起る心作用とされる遍行。特別な対象によって起る心である別境。悔,睡眠,尋,伺の不定 (ふじょう) 。よい心の働きである善。さらに煩悩。また,随煩悩すなわち煩悩に従って種々に現れるもの。第3は,色法。眼,耳,鼻,舌,身の5つの感覚器官とその対象,および法処に含まれる色の 11種。第4は,心不相応法。すなわち上記のいずれにも属さないもので,得,命根,生,老,住など 24種。第5は,無為法。虚空,択滅 (ちゃくめつ) ,非択滅,不動滅,想受滅,真如の6種。

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