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倶舎宗 くしゃしゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

倶舎宗
くしゃしゅう

インドの僧,世親 (320頃~400頃) の著わした『阿毘達磨倶舎論』の研究をもっぱらとする仏教の一学派。中国で古く毘曇宗とも呼ばれたものと同じ路線の上にある。中国では真諦または玄奘によるこの論書の翻訳に始り,神泰などが多くの注釈を著わして研究した。日本においても道昭をはじめ行基,玄 昉らも研究を行い,南都六宗の一つに数えられたが,独立の一宗派の形態をとるにはいたらなかった。

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百科事典マイペディアの解説

倶舎宗【くしゃしゅう】

南都六宗の一つ。《倶舎論》を根本聖典とし,唐の玄奘(げんじょう)によって訳されて以降,盛んに研究され,日本には元興(がんごう)寺開祖道昭(どうしょう)(661年帰国)が請来天平勝宝(てんぴょうしょうほう)年間東大寺において当宗関係の経論が転読されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

倶舎宗
くしゃしゅう

インドの世親(せしん)バスバンドゥの著した『阿毘達磨倶舎論(あびだつまくしゃろん)』(略して『倶舎論』)を研究する宗派。中国仏教十三宗の一つ。日本の南都六宗の一つ。『倶舎論』は、世親が部派仏教(小乗仏教)の一派説一切有部(せついっさいうぶ)の教学に、経量部(きょうりょうぶ)の立場を取り入れながら著した仏教綱要書である。中国では南北朝時代、部派仏教の論書を研究する毘曇(びどん)宗が成立したが、564年に真諦(しんだい)が『倶舎釈論』22巻を訳すと、その弟子慧(えがい)や道岳がこれを研究・注釈するに至って、毘曇宗は倶舎宗にとってかわられた。また654年に玄奘(げんじょう)がふたたび『倶舎論』30巻を訳すと、弟子神泰(じんたい)らが盛んに研究し注釈を施し、普光(ふこう)は『倶舎論記』30巻を、法宝(ほうぼう)は『倶舎論疏(しょ)』30巻を、円暉(えんき)が『倶舎頌疏(じゅしょ)』30巻を著した。
 日本へは、玄奘に学び法相(ほっそう)宗を伝えた道昭(どうしょう)(629―700)が初めて伝えた。奈良時代に玄(げんぼう)、義淵(ぎえん)らが研究し、奈良の諸大寺に倶舎宗が置かれ、倶舎曼荼羅(まんだら)が描かれた。のちには法相宗の付宗となり、平安初期、最澄(さいちょう)の年分度(ねんぶんど)者の割当てに際しても法相宗の付宗として、1名が毎年得度できることとなった。近世にも鳳潭(ほうたん)、普寂(ふじゃく)らによって研究された。現在、独立した宗派はないが、『倶舎論』は仏教の基礎学として多くの学者が研究している。[田村晃祐]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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