化学辞典 第2版 「五酸化二バナジウム」の解説
五酸化二バナジウム
ゴサンカニバナジウム
divanadium pentaoxide
V2O5(181.88).バナジウム微粉末を酸素中で熱すると得られる.橙色の斜方晶系針状晶.密度3.36 g cm-3.融点674 ℃.1750 ℃ で分解してV2O3になる.光によって低い酸化状態の酸化物になる.融解すると電気伝導性が現れる.水にはわずかに溶け,淡黄色の酸性水溶液になる.塩基には易溶であるが,酸にも溶ける.生じた VⅤの化学種はかなり強い酸化力があり,塩酸から Cl2 を発生し,VⅣになる.硫酸製造用触媒,有機酸製造触媒,酸化触媒,陶磁器の着色,写真用現像薬,染色,ガラス(耐紫外線),蛍光体原料,電池材料,元素分析試薬などに用いられる.有毒.[CAS 1314-62-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報