井上 菊次郎(初代)(読み)イノウエ キクジロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「井上 菊次郎(初代)」の解説

井上 菊次郎(初代)
イノウエ キクジロウ


職業
能楽狂言方(和泉流)

本名
井上 重兵衛

生年月日
弘化3年 9月15日

出生地
名古屋

経歴
4代目早川幸八に師事。嘉永6(1853)年尾張城内の舞台につとめる。その後家業の仏具商を営む傍ら稽古に励み、明治17年3月早川幸八ら3師追善狂言会に「釣狐」をつとめる。24年狂言共同社を結成。41年家元山脇元清から早川忠三郎名儀の相続を許されるが実際には用いなかった。晩年は家業を嗣子の2代目菊次郎に譲り、東京に出て狂言に専念。大正5年4月皇居内舞台での天覧能に「宗論」のシテをつとめるなど、狂言界の重鎮として活躍。老齢になってもなお華やかさの失せない芸風で、太郎冠者物に適し、なかでも「寝音曲」を得意とした。

没年月日
大正9年 9月21日 (1920年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報