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釣狐 つりぎつね

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

釣狐
つりぎつね

狂言の曲名。狐釣りの名人の猟師 (アド) に一族を釣り絶やされて,わが身の危うくなった古狐 (シテ) が,猟師の伯父白蔵主に化けて行き,玉藻の前の故事を引いて,狐のたたりを説き猟師に狐釣りを思いとどまらせる。しかし罠に仕掛けられた餌のねずみの油揚げを忘れられず,正体を現してついに罠にかかるが,苦闘の末にかろうじて逃れ去る。肉体的苦痛を伴う大曲で,和泉流では大習,大蔵流では極重習 (ごくおもならい) とする。すなわち『釣狐』を初演することにより一人前の狂言師と認められることになっている (→習物 ) 。歌舞伎にも取入れられ,その一連を釣狐物という。

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デジタル大辞泉の解説

つりぎつね【釣狐】[作品名]

狂言。猟師の伯父に化けた狐が、殺生をやめて罠(わな)を捨てるよう猟師を説得するが、帰りに餌(えさ)の誘惑に負けて本性を現す。吼噦(こんかい)。今悔(こんかい)。
歌舞伎舞踊。長唄。河竹黙阿弥作詞、3世杵屋(きねや)正次郎作曲。明治15年(1882)東京春木座で9世市川団十郎が初演。に取材したもの。新歌舞伎十八番の一。

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百科事典マイペディアの解説

釣狐【つりぎつね】

狂言の曲目。古狐が猟師の伯父に化けて,狐を釣らぬよう意見にいく。説得は成功するが,捨てられたわなを帰途に見つけて誘惑に負け,狐の正体を現す。《花子》につぐ秘曲で,演者は不自然な姿勢の苦痛をしいられ,狂言師の資格認定の曲とされている。
→関連項目後面

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世界大百科事典 第2版の解説

つりぎつね【釣狐】

狂言の曲名。雑狂言。大蔵,和泉両流にある。一族の狐がつぎつぎと猟師に捕らえられ,今やわが身もねらわれている老狐が,猟師の伯父である白蔵主(はくぞうす)という僧に化けて,猟師の家を訪れる。白蔵主は妖狐玉藻前(たまものまえ)の伝説を物語り,狐の執心の恐ろしさを強調し,猟師に罠(わな)を捨てさせることに成功する。喜んだ白蔵主は小歌まじりに帰る道中,先刻猟師に捨てさせた罠を発見する。罠には大好物の若ねずみの油揚げが餌についている。

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大辞林 第三版の解説

つりぎつね【釣狐】

狂言の一。古狐が猟師の家へ伯父の白蔵主はくぞうすに化けて出向き、狐を捕ることを思いとどまるようさとすが、その帰り道に、わなの餌の誘惑に負けて正体を現してしまう。吼噦こんかい
歌舞伎舞踊の一。長唄。河竹黙阿弥作詞。同名の狂言から取材し、舞踊化したもの。新歌舞伎十八番の一。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

釣狐
つりぎつね

狂言の曲名。雑狂言。仲間を釣り絶やされた古狐が、猟師に殺生を断念させようと、猟師の伯父の伯蔵主(はくぞうす)(前シテ、伯蔵主の面を使用)に化けて現れ説教をする。まんまと猟師をだまし、これからは狐を釣らぬと約束させた帰り道、古狐は猟師が捨てた罠(わな)をみつけるが、その餌(えさ)の誘惑に耐えかね、身にまとった化け衣装を脱ぎ捨てて身軽になって出直そうと幕に入る。それと気づいた猟師が罠を仕掛けて待つところに、本体を現した古狐(後シテ、縫いぐるみに狐の面を使用)が登場、餌に手を出し罠にかかるが、最後にはそれを外して逃げてしまう。
 人(役者)が狐に扮(ふん)し、その狐がさらに人(伯蔵主)に化けるという、二重の「化け」を演技するため、役者は極度の肉体的緊張を強いられ、しかもその「化け」がいつ見破られるかという精神的緊張が舞台にみなぎる。演技の原点である「変身」を支える肉体と精神がそのまま主題となった本曲は、それゆえに、「猿(『靭猿(うつぼざる)』の子猿)に始まり狐に終わる」といわれる狂言師修業必須(ひっす)の教程曲であり、ひとまずの卒業論文である。なお、江戸時代から再々歌舞伎(かぶき)舞踊化され、釣狐物というジャンルを生んだ。[油谷光雄]

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