和泉流(読み)いずみりゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

和泉流
いずみりゅう

狂言の流派の一つ。流祖は近江国坂本の隠士佐々木岳楽軒と伝えられる。流儀の確立者で事実上の初代は山脇和泉守元宣で,慶長 19 (1614) 年尾張藩徳川義直に仕えて以来,禁裏御能にも出仕し,代々山脇和泉を称した。一門に加賀藩かかえ京都在住の三宅藤九郎家と尾張藩かかえの野村又三郎家および三宅家の弟子筋にあたる野村万蔵家がある。明治維新以後,宗家山脇元清は上京したが,芸を発揮できないまま没し,子の山脇元照も 1916年に早世して一時宗家は中絶した。 1940年に元照の妹婿が宗家となったが3年後に能楽界を去り,9世三宅藤九郎の長男保之が跡を継いで和泉と改めた。

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デジタル大辞泉の解説

いずみ‐りゅう〔いづみリウ〕【和泉流】

狂言の流派の一。慶長(1596~1615)のころ、山脇和泉守元光、その子元宣の代に成立。尾張藩・加賀藩の保護を受け、宮中にも出仕した。野村派・三宅派などがある。

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百科事典マイペディアの解説

和泉流【いずみりゅう】

狂言の流派。幕府にかかえられた大蔵流鷺流に対し,尾張藩に属し,また宮中に出仕した。徳川義直に仕えた山脇和泉元宜を流祖とするが,それ以前からあった。宗家は山脇姓を名乗ったが,19世元秀(9世三宅藤九郎の子)から和泉姓となった。東京に三宅藤九郎家,野村万蔵家,名古屋に野村又三郎家,狂言共同社がある。流風は柔軟,写実の風が強い。
→関連項目狂言

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世界大百科事典 第2版の解説

いずみりゅう【和泉流】

狂言の流派の一つ。江戸時代は名古屋,京都に勢力を持っていたが,現在の活動は東京を中心としている。室町中期の江州坂本の隠士佐々木岳楽軒を流祖とし,その芸系が6世鳥飼和泉守元光まで伝えられてきたと伝承するが確かでない。和泉守は手猿楽(素人猿楽)に与えられた受領号であり,摂津猿楽鳥飼座より出て京都で手猿楽の狂言として活動するようになったものと考えられる。元光は大蔵流鷺流の芸系に加えられる日吉満五郎の教えを受けたと伝えられ,両流と同じ芸系にあることになる。

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大辞林 第三版の解説

いずみりゅう【和泉流】

狂言流派の一。慶長(1596~1615)の頃、山脇和泉守元宣もとよしが尾張徳川家に仕えて始めたといわれる。宗家のほかに野村又三郎家・野村万蔵家・三宅藤九郎家がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

和泉流
いずみりゅう

狂言の流儀。宗家山脇(やまわき)和泉家は、室町中期に近江(おうみ)国(滋賀県)坂本に住んでいた佐々木岳楽軒(がくらくけん)を流祖とするが、のち摂津国(大阪府)の淀(よど)川河畔にあった鳥飼猿楽(とりかいさるがく)の狂言方になったらしい。同座衰微後、江戸初期に京都へ出て活躍していた宗家7世山脇和泉守(いずみのかみ)元宜(もとよし)が、同じく京都の有力な狂言方であった三宅藤九郎(みやけとうくろう)家と野村又三郎家を傘下に収めて流儀を確立、山脇和泉家と野村家は尾張(おわり)徳川藩の、三宅家は加賀前田藩の禄(ろく)を受けながら禁裏御用も勤めたが、江戸時代を通じ流勢は京坂、名古屋、金沢、および野村家の弟子家があった熊本に限られていた。明治維新後、東京遷都に伴い、禁裏御用の流儀であった縁により三宅藤九郎家をはじめとし、山脇和泉家ほか各地の名家も東京に集まったが、多くは後継が絶えた。東京の和泉流は、金沢から上った三宅家の弟子筋である5世野村万造(隠居名、萬斎(まんさい))の長男6世野村万蔵(まんぞう)と次男で師家を継いだ9世三宅藤九郎の門葉が独占し、それぞれの流れをくむ後継者が活躍している。ほかの地では名古屋に同地和泉流の伝統を守る狂言共同社、金沢に北陸狂言会がある。[小林 責]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いずみ‐りゅう いづみリウ【和泉流】

〘名〙
能狂言の一流派。近世、慶長の頃、山脇和泉守元光およびその子元宣の創始といわれる。大正五年(一九一六)一一代和泉元照没後、養嗣子として和泉保之がこれを継ぎ、また、このもとに野村派、三宅派などがある。
② 近世における船の設計法である木割法の一流派。軍船荷船の木割法があって、ともに「尋掛(ひろがか)り」を主とし、近世初期より瀬戸内方面で行なわれたが、境井流、唐津流などの主流からみれば傍流であった。

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