井上町(読み)いのうえちよう

日本歴史地名大系 「井上町」の解説

井上町
いのうえちよう

[現在地名]奈良市井上町

築地内つじのうち町の南に所在。「奈良曝」に「町役廿七軒。元興寺町南町。いにしへ井上源五(高晴)殿、此町におハしけるゆへなり」と町名由来を説いているが、「奈良坊目拙解」は当地元興がんごう寺南大門の跡で、門前に井上内親王の御霊社の神輿舎があったためとし、「奈良七郷之其一所矣、古老云、寛永年迄当町西多為田畠無人家」と記す。なお「大乗院雑事記」文明一二年(一四八〇)六月一九日条には「七郷」(興福寺寺門郷)のうちの南大門なんだいもん郷に井上がみえ、興福寺寺務の支配下にあった。また同一七年八月一七日条には「夜馬借共井上南大門辺ニ乱入」の記事がみえる。

「井上町年代記」によれば文政二年(一八一九)には町内四一軒のうち豆腐煮豆売一、菓物青物問屋一、煮売一、道具ならびに晒小売一、荒物商一、書物本類商一、筆職・硯墨筆商一、晒小売一、塩魚商二、染物職・石灰商一、目薬・晒小売一、酒造・酒小売一、刻みたばこ油荒物商一、青物菓物商一、味噌醤油麹酢塩商一、油小売一、絞り油中買小売・油粕商一、墨筆商一、木綿古着商一、塩魚商・商宿一、石工・菓物商一、大工一、絣績二、大工戸障子職一、筆職一、墨職一、仕立職・托鉢一、髪結床一、日雇二、町番人一、老病者一、町会所一、興福寺衆徒号所一、空家五。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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