日本大百科全書(ニッポニカ) 「人造貯水池」の意味・わかりやすい解説
人造貯水池
じんぞうちょすいち
水を貯留し利用することを目的につくられた水域。堰堤(えんてい)(ダム)や掘り込みによって湖盆をつくったものである。多くの場合、谷に堰堤をつくり、川をせき止めて水をためるが、最近では地下堰堤による地下水の貯留も行われている。湖の部分は人工湖ともいう。
貯水池はすでに古代メソポタミアにあったといわれ、日本でも古墳時代には築造されていた。日本では小規模な灌漑(かんがい)用溜池(ためいけ)が多く、その数は約21万か所に及ぶ。
現在のダムによる貯水池は使用目的によって、農業、上水道、工業用水、発電、洪水調節、および2目的以上を兼ねる多目的に分けられる。それぞれの目的により、水の使用方法に大差がある。なお、ダムの数はおよそ2800である。貯水池内の水の状態は基本的には自然湖沼のそれに近いが、水位変化が大きいこと、中間に水の流動層があることなどの点は特殊である。
[新井 正]