改訂新版 世界大百科事典 「今出川家」の意味・わかりやすい解説
今出川家 (いまでがわけ)
藤原氏北家閑院流西園寺家の庶流。家格は清華。家業は琵琶。ふつう太政大臣従一位西園寺実兼四男兼季を始祖とするが,1317年(文保1)実兼置文(《管見記》所収)に,兼季を兄公顕の嫡子とし,公顕の子実顕を兼季の子とし,公顕・兼季兄弟2流を縮めて1流とせよ,とあるから公顕を始祖とすべきか。しかし実顕は兼季より先に死し,その子公冬が南朝に候したので,兼季の子孫が家を継承したため,兼季を始祖とするに至ったのであろう。家名は,西園寺家領の邸宅今出川殿を伝領したのに由来するか。また別号を〈菊亭〉という。その理由を,兼季が菊を愛して庭に植えたから,とする説があるが,菊亭も西園寺家領の殿邸であるから,兼季が菊亭を伝領したのに由来するのが実情であろう。江戸時代の家禄は1355石余。明治維新後,家名を〈菊亭〉と定めた。1884年(明治17)脩季のときに侯爵を授けられた。
執筆者:今江 広道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報