付込(読み)つけこむ

精選版 日本国語大辞典 「付込」の意味・読み・例文・類語

つけ‐こ・む【付込】

[1] 〘自マ五(四)〙
① 相手の気持やすきに乗じて、自分の有利をはかる。好機をとらえてうまく利用する。つけいる。
浮世草子傾城禁短気(1711)五「此方の弱身を見せると、それからつけ込(コミ)て、此程のふり返しをするには極った事」
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「損毛承知で売ってしまふ了簡だから其処へ付込(ツケコ)ンで性一ぱいねぎりつけて買落す策があるヨ」
② あらかじめ約束しておく。前もって申し込む。
洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)三「一度逢たたいこ指(もち)も、かぎ出して来てつけこめば、献(さす)やら(おさへる)やら呑やらうたふやら」
[2] 〘他マ五(四)〙
① 跡をつけてゆく。また、あとを追ってそのまま相手の家などに入る。つけいる。
※浮世草子・好色五人女(1686)二「おせんがかへるにつけこみ、ないない約束、今といはれて、いやがならず」
② 荷物などを運び込む。
※俳諧・類船集(1676)幾「荷物あまた付こむ問丸こそにきははしけれ」
③ 仕分けをしないで、次々と帳面にしるす。書き込む。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九「悉く彼の日記につけ込んである」

つけ‐こみ【付込】

〘名〙
① 好機に乗じて、追い討ちをかけ、敵の本陣へ攻めこむこと。つけいり。つけいれ。
武家名目抄(19C中か)軍陣部「後陣へ詰寄、追討、付込にして、高祖の城二三の丸まで攻入
② (①から) 跡を追いかけて逃げこんだ場所をつきとめること。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)五「それにこしらへたる女、いやとは申さぬと、いひ捨てにげて行。是をつけ込(コミ)にして、先約なひこそ幸なれ」
帳簿などに、仕分けをしないで、次々と記帳していくこと。
④ お座敷などを予約しておくこと。
※歌舞伎・月梅薫朧夜(花井お梅)(1888)五幕「お付込(ツケコ)みのお客様で、お貸切りになりますから、お気の毒でござります」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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