日本大百科全書(ニッポニカ) 「仙霞嶺」の意味・わかりやすい解説
仙霞嶺
せんかれい / シエンシヤリン
中国南東部にある山脈。銭塘江(せんとうこう)水系、甌江(おうこう)水系と閩江(びんこう)水系との分水嶺。浙江(せっこう/チョーチヤン)省の主要山脈の一つで、古泉山、泉嶺山ともよばれる。浙江省、福建省、江西省3省の省境付近で武夷山(ぶいさん)から分かれて北東方に延び、さらに北東へ延びて天台山脈に連なる。平均海抜高度1000メートル前後、中生代の火山岩に覆われ、節理がよく発達、急崖が多い。福建省境に仙霞関、楓嶺関(ふうれいかん)があり、古来福建に入る関門で、軍事上の要衝でもあり、「一夫関に当れば万夫も開くことのできない」天険として知られてきた。ことに仙霞関は長さ10キロメートル、石段360段、28曲がりの難所とされる。
[河野通博]