伊知地村(読み)いじちむら

日本歴史地名大系 「伊知地村」の解説

伊知地村
いじちむら

[現在地名]勝山市北郷きたごう町〈伊知地・上野うわの

わしヶ岳東南麓、岩屋いわや川右岸の扇状地に立地し、東は東野ひがしの村、西は坂東島ばんどうじま村。枝村として西坂東島・上野がある。安貞元年(一二二七)に越前国守護職に補任されたと伝えられる島津忠義の父忠久が、これより先に伊知地を自家領としており、薩摩の伊知地氏はここの出身という(大野郡誌)。地名は「太平記」巻二二に「伊地いづち山」とみえる。「朝倉始末記」に天正二年(一五七四)七山家ななやまがの一向一揆の大将アゼチ兵衛尉らが平泉へいせん寺と戦ったとあるが、このアゼチ兵衛尉は「越前国名勝志」記載の「伊知地ノ庵室兵衛」に比定されている。「越前地理指南」に「此辺の村々朝倉家の侍屋鋪跡多シ」とあるが、小字名に万条替地まんじようかいち前出まえで替地・後出うしろで替地・なか替地・下出しもで替地などが現存するところから、中世の開発村と推定される。

慶長一一年(一六〇六)頃の越前国絵図に「井筒村」として高二二〇五・〇五石とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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