伊福吉部徳足比売墓誌(読み)いふきべのとこたりひめぼし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊福吉部徳足比売墓誌」の意味・わかりやすい解説

伊福吉部徳足比売墓誌
いふきべのとこたりひめぼし

文武(もんむ)朝に采女(うねめ)として仕えた伊福吉部臣(おみ)出身の女性、徳足比売の墓誌。「いほきべのとこたりひめぼし」と読むこともある。鳥取市国府(こくふ)町宮下の丘陵中腹の石櫃(いしびつ)内から出土。墓誌は鋳銅製被蓋(かぶせぶた)式の鉢形骨蔵器の蓋(径24.2センチメートル)上面に、放射状に16行108字の銘文を刻む。銘により、徳足比売は因幡(いなば)国法美(ほうみ)郡の豪族伊福吉部氏出身で、707年(慶雲4)従(じゅ)七位下を授けられ、翌708年(和銅1)没し、710年に火葬されてこの地に葬られたことが墓碑銘から知られる。東京国立博物館に現蔵、1955年(昭和30)国の重要文化財に指定。なお、伊福吉部徳足比売墓跡は国指定の史跡となっている。

[大脇 潔]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android