朝日日本歴史人物事典 「伊藤松軒」の解説
伊藤松軒
生年:宝永6(1709)
江戸中期の歌人。青山備前守幸覃の家臣であったが,のち浪人して江戸麻布竜土町に住む。晩年内田家に仕えるか。烏丸光栄,武者小路実岳,日野資枝門。また江戸では亨弁に師事し,下級武家歌人達を指導するに至る。萩原宗固とは同門として親交を結んだ。家集『倚翠庵和歌』(刊本)のほか,写本の『倚翠庵和歌の浦波』が伝存する。人脈上も江戸歌壇の中心たりえた存在であったが,実像はまだ十分明らかになっていない。<参考文献>松野陽一「明和安永期江戸歌壇と渋谷室泉寺」(『和歌文学研究』54号)
(久保田啓一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報