フィヒテが1794年から1813年にかけて執筆・講義した体系的論述の総称。従来《全知識学の基礎》(1794)を指す場合も多かったが,今日では研究の中心は変貌する〈知識学〉の全体的構造をとらえることに移っている。1794年の叙述と,97年の《知識学の新叙述の試み》(第1,第2序論が有名)では道徳界と自然界の関係を中心とし,1801年《知識学の叙述》では神があらゆる現存在の基礎として出現する。絶対知の背後に,絶対者・存在を求める。04年の講義(生前未刊),06年から13年においては存在・現象が主題化される。これらのすべてを通じてフィヒテは,自我を中心として道徳界と自然界を統一的にとらえ,神・存在をその内にとらえようとしたが,自我と神・存在の関係の把握は困難をきわめ,フィヒテ哲学の中心にある道徳的自我が,根本的に宗教性と一致しうるかという問題を投げかける結果となった。
執筆者:加藤 尚武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…すでにプラトンが,間接的な識別知としての〈ディアノイアdianoia〉の上位に,問答法ないし弁証法によって到達されるべき一種の直覚知を置き,それ以来,感覚的臆見,間接的識別知,直覚知という三分法は,西欧の思考の歴史において広く行われてきた。フィヒテの〈知識学〉やヘーゲルの〈絶対知〉にいう知ないし知識は,この伝統をふまえて,識別知と識別以前ないし識別を超えた直覚知にいわばあいわたる微妙な位置を占めている。この高次の知は,たとえばベルグソンになると,動物の本能にも比せられる〈直観〉として,直覚的性格をふたたびあらわにするが,それが近代実証科学の目覚ましい成果に幻惑され,識別的知識と安易に短絡されると,人間をかつての神に代わって自然を支配すべきものの位置におく悪しき意味での人間中心主義ないし主体主義の哲学を生むことになる。…
…この〈無神論論争〉でフィヒテに好意的だったプロシア政府が,彼を終生の地ベルリン大学に迎えた。 フィヒテは《全知識学の基礎》(1794)で,自我中心の体系原理を確立する。第1原則〈自我は根源的に絶対的に自己自身の存在を定立する〉,第2原則〈自我に対して絶対的に非我が反定立される〉,第3原則〈自我は自我の内に可分的な自我に対して可分的な非我を反定立する〉。…
※「知識学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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