伊香村(読み)いこうむら

日本歴史地名大系 「伊香村」の解説

伊香村
いこうむら

[現在地名]塙町伊香

台宿だいじゆく村の南、久慈くじ川西岸段丘と八溝やみぞ山地東縁に立地。水戸街道に沿う宿駅村。弘仁二年(八一一)四月、常陸国と陸奥国を結ぶ官道が開かれ、高野たかの駅などが新設されたが(日本後紀)、この高野駅は当地の字高野里たかのさとに比定されている。字古宿ふるじゆくの長者屋敷の伝承は、古代の高野郡司にかかわる物語と考えられている。貞治三年(一三六四)四月二五日の結城朝常譲状(結城文書)に白河庄高野郡のうち「いかうの郷」とみえ、同郷は子政常に譲られている。永禄九年(一五六六)六月吉日の蘆名盛氏・同盛興連署証状(八槻文書)に「伊香之中鴾山平六郎恩之地」とみえ、佐竹氏に奪われた南郷(現東白川郡の南部)奪回の暁には伊香内の地を与えることを約束して、八槻やつき(現棚倉町)近津ちかつ明神別当に戦勝祈念を命じている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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