返答書(読み)へんとうしょ

改訂新版 世界大百科事典 「返答書」の意味・わかりやすい解説

返答書 (へんとうしょ)

江戸幕府の民事裁判手続(出入筋(でいりすじ))における被告相手方)の答弁書。訴状(目安(めやす))に裁判所の裏書(目安裏書,目安裏判(うらはん))が与えられ,これが原告(訴訟人)の手によって相手方のもとに送達されると,相手方は目安の内容に対する反駁書面に記して裁判所に提出しなければならない。この書面が返答書で,通常は〈差日(さしび)以前着届(ちやくとどけ)〉(出廷期日の前に出府,到着した旨の届出)の際に目安とともに提出する。期日(差日)には両当事者が白洲(しらす)に出廷して対決し,目安,返答書の記載内容に基づき審問を受ける。審理が熟して判決(裁許さいきよ))が申し渡され,または和解内済(ないさい))が成立すると,訴訟人は目安と返答書を継ぎ合わせたものを下付され,裏書加判の奉行を歴訪して消印を受け,これを裁判所に納めて裁判は終了した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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