朝日日本歴史人物事典 「佐藤信季」の解説
佐藤信季
生年:享保9(1724)
江戸中期の農政学者。出羽国雄勝郡西馬音内村(秋田県羽後町)生まれ。農学者信景の子で,経世家信淵の父。玄明窩と号した。代表的な著作に安永9(1780)年の『漁村維持法』がある。同書は政策論的な上巻と生産論的な下巻の2巻からなる。具体的には上巻は「不漁ト凶年ノ難ニ備フル仕方」「漁猟場運上金総論」「維持ノ仕方十箇条」といった為政者の漁村と漁民に対する取り組みを記し,下巻は「地引大網ノ説」「九十九里漁猟場ノ大略」「大地引ノ図説」他の関東の九十九里浜の地曵網漁業の実情などを述べている。ほかに堤防水利の工事法を記した『堤防溝洫志』や農政と草木培養の方法を述べた『培養秘録』などの著作がある。ただし,これらは信季の口述,信淵の筆記,校訂とされている関係上,信淵の著述とみなす説も有力である。<参考文献>滝本誠一編『佐藤信淵家学全集』上
(伊藤康宏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報