日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファーレンハイト」の意味・わかりやすい解説
ファーレンハイト
ふぁーれんはいと
Daniel Gabriel Fahrenheit
(1686―1736)
ドイツの物理学者。ダンツィヒ(現、ポーランドのグダニスク)で商家の長男として生まれる。1701年、両親の急逝に伴ってアムステルダムに移り、科学機器製造の仕事に携わることになった。一時期ドイツ各地を周遊しライプニッツと文通もした。1717年アムステルダムに帰り、密度計、揚水ポンプなどの製造の事業を拡張した。そうした事業と併行して、諸物質の密度、沸点、膨張率などを測定し物性科学に貢献したが、最大の功績は温度計の目盛りの標準化である。健康な男性の口の中または腋(わき)の下の温度を90(のちに96)とし、氷と水の混合物の温度を30(のちに32)とした彼の考え(1724)は、欧米で今日も用いられる華氏温度目盛(。中国では彼の名に華倫海の文字をあてた)の発端となった。
[高田誠二]