日本大百科全書(ニッポニカ) 「シモツケ」の意味・わかりやすい解説
シモツケ
しもつけ / 下野
[学] Spiraea japonica L.f.
バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。茎は叢生(そうせい)し、高さ約1メートル。葉は互生し、単葉で広披針(こうひしん)形から卵形で、先端はややとがり、縁(へり)は二重鋸歯(きょし)があり、裏面は淡緑色か、やや白みを帯びる。短い葉柄がある。5~8月、新枝の先に複散房花序をつくり、淡紅色で径約5ミリメートルの5弁花を開く。雄しべは多数、花弁よりはるかに長い。雌しべは5本。果実は袋果(たいか)。山地に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。名は、この植物が下野(しもつけ)(栃木県)で最初に発見されたからという。本種は形態的に非常に変異に富んでおり、いろいろと細分されることがある。また観賞用として人家や公園によく植栽される。シモツケ属は約100種あり、おもに北半球の温帯に分布する。日本にはイワガサ、ホザキシモツケなど約10種が自生し、シジミバナ、ユキヤナギなどが栽培される。
[鳴橋直弘 2020年1月21日]