価値と資本(読み)かちとしほん(英語表記)Value and Capital

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価値と資本」の意味・わかりやすい解説

価値と資本
かちとしほん
Value and Capital

イギリスの経済学者 J.R.ヒックスの『資本と成長』『資本と時間』と並ぶ資本3部作の第1著作。 1939年刊。 1870年代から 1930年代までに展開された価値の理論および資本の理論の集大成であり,L.ワルラスや V.パレートの一般均衡理論を展開し,その基礎のうえにオーストリア学派や北欧学派の資本理論を再構成した。特に消費者理論において無差別曲線あるいは序数的効用関数に基づいてスルツキー方程式を導出し,代替財補完財を定義し,代替の6則を指摘するなど,需要法則解明に貢献した。さらに A.マーシャルやオーストリア学派および北欧学派の資本理論を発展させ,一時的均衡の理論を確立した。

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世界大百科事典(旧版)内の価値と資本の言及

【ヒックス】より

…イングランドのウォリックシャーに生まれ,オックスフォード大学卒業後,ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)講師,ケンブリッジ大学フェロー,マンチェスター大学教授を経てオックスフォード大学教授(1952‐66),またオールソールズ・カレッジのフェロー(1952‐)。主著《価値と資本Value and Capital》(1939)は,ワルラス,パレートの一般均衡論に北欧学派の立場を摂取し,価格経済構造を微視的社会像として定着させた古典である。序数的効用理論(限界代替率)に基づく需要供給理論,連関財の理論,静学的安定論,経済理論の動学化を主要テーマとして,個人と社会,静学と動学を貫徹する共通原理を追求している。…

※「価値と資本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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