価値自由(読み)かちじゆう(その他表記)Wertfreiheit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価値自由」の意味・わかりやすい解説

価値自由
かちじゆう
Wertfreiheit

社会科学において認識の客観性を保つためには,一定価値基準に従って善悪,正邪の判断を迫るような態度をとるべきでないという M.ウェーバー主張。彼によれば,経験科学は人が何をなしうるか,何を欲しうるかを教えることはできても,何をなすべきかまで教えることはできないという。没価値性あるいは価値中立性ともいわれるが,ウェーバーは,この主張によって単なる事実と価値との二分論を説いたのでもなく,また後者を科学的認識の外に放逐しようとしたのでもない。価値自由の原理が要請されるのは,ある価値への教条主義的固執によってもたらされる社会科学のイデオロギー化を阻止するためである。

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世界大百科事典(旧版)内の価値自由の言及

【ウェーバー】より

…〈道徳的無関心の態度は,科学的客観性とはなんの関係もない〉ということをウェーバーは力説している。科学者にとって大切なのは己の価値を知り制御すること,すなわち〈価値自由Wertfreiheit〉の態度である(価値自由論は特に社会政策学会で論争の的になり価値判断論争をひきおこした)。価値は,科学によって根拠づけられえないが,科学の認識対象となりうる。…

※「価値自由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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