価格と生産(読み)かかくとせいさん(その他表記)Prices and Production

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価格と生産」の意味・わかりやすい解説

価格と生産
かかくとせいさん
Prices and Production

経済学者フリードリヒ・アウグストフォンハイエクの著書で,『貨幣と景気』Geldtheorie und Konjunkturtheorie(1929)と並ぶ初期代表作の一つ。1931年,英語版とドイツ語版が公刊された。1930年代の経済学界の中心テーマの一つとして貨幣的経済理論の構築があげられるが,同書もこうした学界の状況を反映して,クヌート・ウィクセルやルートウィヒ・エドラー・フォン・ミーゼスの問題意識を継承したものとなっている。貨幣的経済理論の系譜を詳細に紹介したあとで,ハイエクは意図された貯蓄と貨幣量の変化(生産者に対する追加的な信用供与)がそれぞれ生産構造に与える効果を分析し,その理論的含意の相違を明らかにした(→貨幣的景気理論)。貨幣的経済理論に対する興味と相まって多くの読者を獲得し,ハイエクの名を高めたが,その後ジョン・メイナード・ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』The General Theory of Employment, Interest and Money(1936)の刊行によるケインズ経済学の急速な普及により,一時忘れられていた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む