改訂新版 世界大百科事典 「保健施設」の意味・わかりやすい解説
保健施設 (ほけんしせつ)
健康保険法23条に,保険者(政府および健康保険組合)は被保険者および被扶養者の疾病や負傷の療養または健康の保持増進のために必要な施設を設置し,かつそれに必要な費用を支弁することができるとされている。同様の規定は国民健康保険法第82条,国家公務員共済組合法98条等にもみられる。保健施設とは,上記条文に基づき保険者が行う保健・福祉事業の一環として設置された施設である。保険者の行う保健・福祉事業をみると,健康保険組合の場合は付加給付という組合制度の一特色とも関連した多彩な事業がある。その内容は,(1)保健指導宣伝に関するもの,(2)診療所経営など健康管理に関するもの,(3)山・海の家,保養所,体育館,保健会館の経営などの健康の保持増進ならびに福祉に関するものに大別できる。政府管掌健康保険においても,保養所・病院の経営,事業所対抗軟式野球全国大会等の健康づくり事業,検診車の設置などがなされている。また,国民健康保険においても直営診療所等がある。各共済組合でも同様の施設の経営をはじめとする保健・福祉事業が行われている。なお〈保健施設〉という場合,施設の設置運営にかぎらず,保健・福祉事業全般を意味する場合がある。
執筆者:大内 講一+石本 忠義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報