日本大百科全書(ニッポニカ) 「保育計画」の意味・わかりやすい解説
保育計画
ほいくけいかく
幼稚園や保育所においては、一定の保育理念に基づき保育目的を決め、その目的を達成するために、手段や方法をどのようにしたらよいかを考え、その予定をつくるが、この予定全体を保育計画という。保育計画には、〔1〕保育の内容として何を選択するか、〔2〕その内容をいかに配列するか、〔3〕それをいかなる方法で実現するかが考慮されなければならない。それらは、とかく保育者側の立場にたって考えられたものが多く、子供の自発的活動を束縛するものになりがちであることが、批判の対象になっている。これは、子供の自発的な活動は、しばしば保育者にとって予測がつかないことがあるからである。保育計画に、年間計画に基づいて、月案、週案、日案がつくられるが、柔軟性のある保育者は、子供の自発的活動を尊重するから、それを子供に強制することはない。自発的な活動が、保育計画のなかのどの柱に該当するかを考えるとともに、1人1人の子供の発達が、自発的な活動のなかでどのように実現されているかを確認している。それに反して柔軟性に乏しい保育者は、日案を子供に強要することが多く、自発性の発達を阻害し、意欲に乏しい子供をつくりだしている。現在のわが国の幼稚園や保育所には、その傾向が著しい。
[平井信義]