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保育所 ほいくしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

保育所
ほいくしょ

保護者の委託を受け,労働疾病などのため家庭での保育が困難な乳児や幼児の保育を行なう児童福祉施設。1947年児童福祉法の成立により設置された。都道府県は設置義務を負い,市町村は都道府県知事への法令に基づく届け出により設置できる。国,都道府県と市町村以外の者は,都道府県知事の認可を得て設置することができ,これが認可保育所と呼ばれる。市町村が都道府県知事への法令に基づく届け出をせずに設置した保育所と,都道府県知事の認可を得ていない都道府県と市町村以外が設置する保育所は,認可外保育施設などと呼ばれる。認可外保育施設に対し,都道府県知事は報告などを求め,設備・運営などの勧告を行ない,勧告に従わないときは公表し,必要なら審議会の意見を聞いて,停止・閉鎖を命ずることができる。都道府県は,認可外保育施設を含む保育所の設備および運営について,厚生労働省の最低基準などに基づき,条例で基準を定めなければならない。厚生労働省の基準では,保育所は入所する子供の最善の利益を考慮し,その福祉を積極的に推進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。保育時間は 1日 8時間を原則とし,養護と教育を一体的に行なうことを特性とするとされている。保育に要する費用は,認可保育所などでは所得に応じた額を保護者が負担する。近年,都市部において,入所を希望しながら定員の空きがないため入所できない待機児童と呼ばれる乳幼児の存在が注目され,保育所不足が問題となった。2015年4月1日現在,全国の認可保育所の数は 2万3533,定員は 228万7878,利用者数は 215万9357。2015年の待機児童数は 2万3167。

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デジタル大辞泉の解説

ほいく‐しょ【保育所】

保護者が労働・疾病などのために保育できない学齢以前の乳幼児を、保護者の委託を受けて保育する施設。特に、国の設置基準を満たした認可保育所のこと。保育園

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百科事典マイペディアの解説

保育所【ほいくしょ】

児童福祉法に基づく福祉施設の一種。保護者が労働や病気などの理由で児童の保育ができない場合に,保護者の委託を受けて,児童の保育を行う施設。第2次大戦前は託児所と呼ばれたもの。
→関連項目保育保育ママ保母幼児教育幼稚園

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防府市歴史用語集の解説

保育所

保育所は児童福祉法[じどうふくしほう]で定められた施設で、小学校入学前の子供を一定の時間預かって、保護者のかわりに世話をしてくれる施設です。防府市内には保育所は市立が5ヵ所、私立は19ヵ所あります。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほいくしょ【保育所】

今日の日本では児童福祉法(1947公布)による児童福祉施設の一つで,〈日日保護者の委託を受けて,保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設〉である。このような施設の起源は必ずしも明らかではないが,ふつう,1779年フランスのアルザス・ロレーヌでプロテスタント牧師オベルランJean Fréderic Oberlin(1740‐1826)が貧困家庭の子の昼間保育を始めたのが最初とされる。

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大辞林 第三版の解説

ほいくしょ【保育所】

児童福祉法に基づく児童福祉施設の一。保護者が労働または疾病などのため、その保育が十分できない乳幼児をあずかり保育する施設。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

保育所
ほいくしょ

児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく児童福祉施設。保護者が労働または疾病などの理由で、その監護すべき乳児・幼児の保育に欠ける場合、これを入所させて保育するところである。1日8時間保育することが原則となっている。[岡田正章]

役割

保護者が「昼間常態で働いている」「病気やけがまたは精神・身体に障害がある」「同居の親族を常時介護している」など、その児童の保育に欠けるところがある場合、保育所に入所できる。家庭での所得の多寡にかかわらない。しかし、入所にあたっては保護者からの申込みと、市区町村長が、その子供が保育に欠けていることを認めることが必要である。公立・私立のいずれの保育所であっても、保護者はその所長に入所を願い出て許可を得るのではなく、申込書を市区町村に提出することとなっている。提出にあたっては、保護者がその児童の入所を希望する保育所を選択して入所申込書に記す。その保育所の入所定員にゆとりがあれば、市区町村がその入所を決定する。
 保育所での保育に要する費用は、市区町村長が保護者から徴収することができる。保護者が生活保護を受けている家庭では全額免除されたり、所得の低い家庭に対してはその一部が減額されたりする場合がある。減免した金額に対しては、国が定めた一定の基準額に即し、国が5割、都道府県と市区町村がそれぞれ2割5分負担する定めとなっている。[岡田正章]

設置・運営

保育所を設置・運営するものは、知事の認可を得なければならない。このためには、設置者が地方公共団体もしくは社会福祉法人であることが原則であるが、企業なども設置することができる。いずれも施設整備、職員組織などは国の定めた基準以上のものとなっていなければならない。2009年(平成21)4月現在、全国の認可保育所の数は2万2925か所(公立1万1008か所、私立1万1917か所)、入所児童数は204万0974人(公立90万1141人、私立113万9833人)となっている。
 保育所という名称は、法律などによって、認可を得ていないものが用いてはならないと禁止されているわけではなく、無認可で類似の事業をしているものも、保育所、保育園などの名称を用いている。
 乳児・幼児を子育てしながら就労する保護者などが増加していることで、認可された保育所への入所を待つ状態になっている待機児童が増大している。厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の調査によれば、待機児童数は2009年4月現在で、全国で2万5384人となっており、前年よりも5834人の増加となっている。なかでも低年齢児(0~2歳)の割合が高く、年齢区分別にみると全体の81.9%を占めている。
 厚生労働省は、待機児童の解消などのため、1999年に策定した「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン)で「保育等子育て支援サービスの充実」を掲げ、その拡充を図っている。
 保育所の施設設備、職員組織の基準は、厚生労働省が定めた児童福祉施設最低基準のなかに示されているが、これは最低を示したもので、このため職員組織では、保育士、嘱託医、調理員が必置の職員と定まっているだけである。しかし、ほとんどの保育所では、所長、主任保育士が置かれている。保育士1人の受け持つ乳幼児数も、その基準に示され、乳児は3人、1~2歳児は6人、3歳児は20人、4歳以上児は30人となっている。心身に障害をもつ幼児で、保育に欠けている者に対しても、保育所での集団保育が可能で、日々通所できる者は保育所で保育するよう、国と都道府県とは、一般の保育費用のほかに、補助金を出している。[岡田正章]

起源

保育所の起源は、貧困家庭の乳幼児のため、母親が働く間、母親にかわって終日託児する施設としてである。ヨーロッパでは、1779年フランスのアルザス・ロレーヌで牧師オベルランJean Frdric Oberlin(1740―1826)が始めたのが最初とされる。1816年、ロバート・オーエンは、イギリスのニュー・ラナークの紡績工場で働く母親の幼児を対象に、子供のよりよい発達のための性格形成新学院を設立した。そのなかに幼児学校Infant Schoolを設け、1歳から6歳までを保育した。1844年、パストレ夫人Madame de Pastoretは、貧困な家庭の働く母親の幼児のために幼児保育所salle d'asileをパリに設けた。
 日本では、1890年(明治23)、新潟市に赤沢鍾美(あつとみ)・仲子夫妻が、近所の家庭で幼児がいるため働くことのできない母親に対して、幼児を預かる守孤扶独幼稚児(しゅこふどくようちじ)保護会という保育施設を始めたのが、最初とされている。その後、1894年に東京の大日本紡績株式会社によって女子工員の幼児のために工場付設の託児所が設けられたり、また、1900年(明治33)には、慈愛心に富んだ野口幽香(ゆか)、徳永恕(ゆき)(1887―1973)によって、東京・四谷のスラム地区に二葉幼稚園(のち二葉託児所と改称)が開かれたりした。当時は、もっぱら託児所または託児施設とよばれていた。[岡田正章]

保育所と幼稚園

従来、ともすると、保育所(厚生労働省所管の福祉施設)と幼稚園(文部科学省所管の教育施設)とが比較され、幼稚園のほうが教育的と考えられがちであった。すべての幼児に等しく幼児教育の機会を提供することが要請されるにしたがい、保育所における教育機能が、幼稚園と同様、幼児期に必要な幼児教育となった。1963年(昭和38)、当時の文部省と厚生省は「幼稚園と保育所との関係について」という共同通達を出し、保育所における3歳以上の幼児の教育内容は、幼稚園における教育内容の基準としての「幼稚園教育要領」に準ずるとし、両者の幼児教育内容の等質性を明らかにした。
 さらに、厚生省は1965年(昭和40)に、保育所の幼児教育が幼稚園の教育内容に準ずるということにとどまらず、保育所の保育内容についての指針「保育所保育指針」を初めて作成し、保育所の保育内容のなかでの教育機能が幼稚園と同等であることを各都道府県知事に通達した。その総則において、「養護と教育が一体となって豊かな人間性をもった子どもを育成するところに保育所における保育の基本的性格がある」として、保育所の教育性を明確にした。
 厚生労働省は、2008年(平成20)に文部科学省が幼稚園の教育課程の基準としている「幼稚園教育要領」を改訂するとき、保育所の保育課程の基となる「保育所保育指針」を改訂し、新たに告示とした。その内容は、従来の「保育所保育指針」同様、保育所保育の特性が「養護と教育が一体となって豊かな人間性をもった子どもを育成する」ところにあるという基本に基づき、保育の目標については、次のように、学校教育法に規定されている幼稚園教育の目標とほぼ同様となっている。
〔1〕保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である。このため、保育所の保育は、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、次の目標を目指して行わなければならない。
(ア)十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。
(イ)健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと。
(ウ)人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。
(エ)生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと。
(オ)生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと。
(カ)様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと。
〔2〕保育所は、入所する子どもの保護者に対し、その意向を受け止め、子どもと保護者の安定した関係に配慮し、保育所の特性や保育士等の専門性を生かして、その援助に当たらなければならない。[岡田正章]

課題

保育所は、入所している子供とその家庭の福祉に寄与するだけでなく、入所させていない家庭の子育てに貢献することをも目ざしている。1960年ごろから、一般に、乳児・幼児をもつ家庭が核家族となっており、祖父母に子育てについて相談することができにくくなっている。そのうえ、都市における連帯性がなくなり、地域の住民相互の育児についてのアドバイスがないなどの状況が顕著である。こうした家庭での子育てを支援するため、1998年に施行された改正児童福祉法により、保育所は保育に関する相談に応じ、助言を行うよう努めなければならないこととなった。
 保育所は、1955年までは毎年700園以上増設されたが、その後は、出生率の低下に伴い入所児童数が前年度比で減少するようになった。しかし、出産後も子育てと仕事を両立させようとする母親がしだいに増え、1996年以降は入所児童数が増加した。このため、定員不足で入所を待機している児童が約2万5384人(2009年現在)となっており、これに応じた保育所の拡充が課題となっている。
 保育所では、多様な保育ニーズに対応するため、次のような役割を果たしており、さらにその拡充が求められている。
(1)保育時間の延長 通常の開所時間(11時間)を、おおむね30分から6時間延長して保育を行う。
(2)一時保育 専業主婦家庭などの育児疲れ解消、急病や断続的勤務・短時間勤務などの勤務形態の多様化に応じて、一時的に対応する保育を行う。
(3)夜間保育 午後10時まで開所する夜間の保育を行う。
(4)障害児保育 障害児の保育を推進するため、保育に欠ける障害児で、集団保育が可能で日々通所できる者を保育する。[岡田正章]
『河添邦俊・佐野勝徳編著『子育ては保育所とともに』(1985・エイデル研究所) ▽鈴木とく著『保育は人間学よ――激動の20世紀、ありのままの子どもとともに』(2000・小学館) ▽伊藤良高著『現代保育所経営論――保育自治の探究』増補版(2002・北樹出版) ▽厚生労働省著『保育所保育指針解説書』(2008・フレーベル館) ▽村山祐一著『「子育て支援後進国」からの脱却――子育て環境格差と幼保一元化・子育て支援のゆくえ』(2008・新読書社) ▽保育・子ども政策研究会編『岐路に立つ保育園――社会保障審議会少子化対策特別部会はどんな未来を描いたか』(2009・かもがわ出版)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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