幼稚園(読み)ようちえん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幼稚園
ようちえん

満3歳から小学校入学までの幼児の教育を行う教育機関。学校教育法 77条によれば「幼児を保育し,適当な環境を与えて,その心身の発達を助長することを目的とする」。創始者といわれる W.フレーベルは 1840年にキンダーガルテンを始めたが,実質的にはその 20年前にイギリスの R.オーウェンの創始した幼児学校が最初のものである。日本では 1876年東京女子師範学校付属幼稚園が創設されたのに始る。幼稚園の保育内容は,健康,社会,自然,言語,音楽リズム,絵画制作の6領域に分類され,これを通じて集団生活を経験し,家庭教育では実現しえない教育が行われている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

幼稚園

遊びを通して、義務教育やその後の教育の基礎を培う教育を目的としている。各園で教育方針は様々だが、「健康」「表現」「人間関係」「環境」「言葉」などの領域から発達をとらえ、総合的に指導している。こうした「教育的意図」を織り交ぜなから、子どもたちの主体性を育てていく点が共通している。

(2011-02-07 朝日新聞 朝刊 生活1)

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デジタル大辞泉の解説

ようち‐えん〔エウチヱン〕【幼稚園】

学校教育法による学校の一。満3歳から小学校入学までの幼児のための教育機関。心身の発達をはかり、集団生活に慣れさせることを目的とする。1840年、ドイツ人フレーベルによって創始された。

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百科事典マイペディアの解説

幼稚園【ようちえん】

保育所と並ぶ幼児教育施設の一つ。1837年フレーベルによって《キンダーガルテン》の名で初めて開設。日本では1876年東京女子師範学校(お茶の水女子大学)付属として設置されたのが最初。1947年学校教育法によって幼児(満3歳以上小学校就学まで)を保育する学校として正式に位置づけられた。その教育内容の基準として文部省の幼稚園教育要領が示されている。
→関連項目学校保育保母

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防府市歴史用語集の解説

幼稚園

幼稚園は学校教育法[がっこうきょういくほう]で定められた施設で、満3歳から小学校入学前までの子供達のための教育をおこなう施設です。防府市内の幼稚園はすべて私立で、17園あります。

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世界大百科事典 第2版の解説

ようちえん【幼稚園】

学校教育法によれば,〈幼児を保育し,適当な環境を与えて,その心身の発達を助長すること〉(77条)を目的とする小学校就学前教育機関であり,学校体系の一環として位置づけられている。ふつう,1837年F.W.A.フレーベルがドイツのブランケンブルクに開設したものに始まるとされ,その名キンダーガルテンKindergartenは世界各国にひろまった。それは,みずから発育する可能性をもった植物の芽が,すぐれた園丁の指導下に成長する花園の意である。

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大辞林 第三版の解説

ようちえん【幼稚園】

満三歳から就学前の幼児を教育する機関。学校教育法では学校の一つとされる。1840年にフレーベルが開設したものが最初とされる。日本では76年(明治9)に東京女子師範学校に付設されたのが最初。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

幼稚園
ようちえん

学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく学校であり、また子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に基づく教育・保育施設。幼稚園における教育課程とその他の保育内容については、学校教育法施行規則と幼稚園教育要領に定められている[宮田まり子・秋田喜代美]

幼稚園の目的および役割

学校教育法第1条に、「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」とあり、幼稚園には学校としての役割がある。対象は、満3歳から小学校就学の始期に達するまでの幼児である(学校教育法第26条)。入園を希望する保護者が申請し、幼稚園設置者と直接契約を結ぶ。幼稚園の目的は、学校教育法第22条にある「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること」である。続く同法第23条において、健康、人間関係、環境、ことば、表現に関する目標が掲げられている。そして同法第24条には「家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努めるものとする」とある。これら学校教育法において定められた目標の実現のために、より具体的に目的や保育内容が書かれたものとして「幼稚園教育要領」が、幼稚園設置にあたり、園の運営や設備に関して必要最低の基準を示した「幼稚園設置基準」などがある。[宮田まり子・秋田喜代美]

設置・運営

幼稚園の設置廃止等は、公立は都道府県教育委員会、私立は都道府県知事の許可を得なければならない(学校教育法第4条、第4条の2)。幼稚園の施設設備については、学校教育法施行規則第36条に「幼稚園の設備、編制その他設置に関する事項は、この章に定めるもののほか、幼稚園設置基準 (昭和三十一年文部省令第三十二号)の定めるところによる」とあり、幼稚園設置基準には、一学級の幼児数(35人以下を原則とする)や学級の編制、教職員、施設設備に関する基準が定められている。学校教育法施行規則第37条には「幼稚園の毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、三十九週を下つてはならない」とあり、省令においてその運営を定めている。幼稚園教育要領において、一日の教育時間は標準を4時間としている。職員は、学校教育法第27条において、園長、教頭、教諭が必置とされており、幼稚園設置基準第5条において、学級ごとに1名の教員を配置することになっている。[宮田まり子・秋田喜代美]

幼稚園教諭

幼稚園教諭の法的根拠は、学校教育法、教育職員免許法、教育公務員特例法にある。学校教育法第27条9項には、「教諭は、幼児の保育をつかさどる」と定義されている。幼稚園教諭は、短期大学や大学の養成課程において養成される。各養成課程において付与される免許状は異なっており、専修、一種、二種がある。専修免許状は修士の学位、一種は学士の学位、二種は短期大学士の称号を取得し、それぞれの免許状に定められた所定の科目を修得した者に与えられる。[宮田まり子・秋田喜代美]

起源と学校教育としての変遷

世界で最初の幼稚園は、1840年にフリードリッヒ・フレーベルがドイツのバートブランケンブルクで開設したKindergarten(キンダーガルテン)であるとされている。日本では、制度的には1872年(明治5)公布の「学制」のなかに、幼児教育機関としての「幼稚小学」の規定があるが開設には至っていない。日本で最初の幼稚園は、1876年にできた東京女子師範学校(現、お茶の水女子大学)附属幼稚園とされている。この幼稚園は、保育の運営、内容などを欧米の幼稚園に倣う形で開設された。その後、日本の幼稚園教育の実践者や研究者らによって附属幼稚園の取り組みが検討された結果、日本独自の保育内容や方法等が幼稚園教育要領によって示された。これがその後開設された幼稚園の運営の指針となっている。
 また2006年(平成18)改正の教育基本法には第11条に「幼児期の教育」が新設された。2007年改正の学校教育法においては、学校種の規定順が変更され、それまでは最後に置かれていた幼稚園が、現行第1条にあるように小学校の前に位置づけられるものとなった。そしてその後の2008年改訂幼稚園教育要領では、就学後の教育の基礎を培う教育としての目標や小学校との連携や接続を意識した内容が示されている。平成30年度幼稚園教育要領では、〔1〕知識及び技能の基礎、〔2〕思考力、判断力、表現力等の基礎、〔3〕学びに向かう力、人間性等を育む三つの視点からの幼児期における具体的課題と、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として10の姿、(1)健康な心と体、(2)自立心、(3)協同性、(4)道徳性・規範意識の芽生え、(5)社会生活との関わり、(6)思考力の芽生え、(7)自然との関わり・生命尊重、(8)数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚、(9)言葉による伝え合い、(10)豊かな感性と表現、を幼稚園修了時の具体的な姿として示している。これら10の姿は就学までの到達目標として設定されるのではなく、続く小学校課程での教科教育につなげられるものであるとされている。[宮田まり子・秋田喜代美]

課題と展望

幼稚園教育における課題と展望として以下三つをあげる。
(1)満3歳児保育と預かり保育
 満3歳児保育は、3歳の誕生日がくると同時に幼稚園に入園して保育を受けることである。これは学校教育法第26条に規定されている制度的実践である。さらに、2006年改正の学校教育法第24条における「家庭及び地域における幼児期の支援に努めるもの」という規定によって、幼稚園における「子育て支援活動」の一環として2歳児入園も認められている。しかし2015年度の満2歳児入園者は3歳児入園者の1割に満たない等、利用は限定的であり、そのための教室と保育者の確保、満3歳児や2歳児への保育に関する知識や技術など、保育者の資質をいかに向上させていくかなどが課題となっている。
 預かり保育は、通常の幼稚園教育の後に希望者に向けて実施されている保育のことである。利用者は年々増加している。保育室と保育者の確保と長時間保育を受ける子どもへのケアと教育に対する専門性の向上が課題となっている。
(2)特別な配慮を必要とする幼児への指導
 平成30年度幼稚園教育要領に加わった内容である。障害のある幼児や海外から帰国した幼児、日本語の習得に困難のある幼児への対応をいう。
(3)幼稚園教育の質の向上
 教育学者の無藤隆(むとうたかし)(1946― )は、幼児教育の質の向上に向けての今後の課題として、(1)幼児期における主体的・対話的学びを形成していくこと、(2)カリキュラムと評価についての改善、(3)幼児教育センターや幼児教育アドバイザーなど外部から指導する仕組みづくりやその定着の三つをあげている。加えてそうした質の向上において必要な保育者の研修のあり方について、(1)制度化、(2)キャリア化、(3)ネットワーク化、をあげている。[宮田まり子・秋田喜代美]
『文部科学省編『初等教育資料』7月号臨時増刊(2017・東洋館出版社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

ようち‐えん エウチヱン【幼稚園】

〘名〙 (Kindergarten の訳語) 小学校入学前の幼児のための教育機関。一年・二年・三年保育の課程があり、昭和二二年(一九四七)教育基本法によって教育体系の中に位置づけられた。
※読売新聞‐明治九年(1876)一一月一四日「又同所の幼穉園の開きは」

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世界大百科事典内の幼稚園の言及

【フレーベル】より

…ドイツの教育家,幼稚園の創設者。チューリンゲンの片いなかに牧師の末子として生まれたが,生後9ヵ月で母を失い,寂しい幼年時代を送った。…

【保育所】より

…このような施設の起源は必ずしも明らかではないが,ふつう,1779年フランスのアルザス・ロレーヌでプロテスタント牧師オベルランJean Fréderic Oberlin(1740‐1826)が貧困家庭の子の昼間保育を始めたのが最初とされる。1837年フレーベルが幼稚園に保育施設を付設し,44年にはパリでマルボーFirmin Marbeauが女工の子どもの保育施設をつくり,イギリスではR.オーエンがニューラナークに幼児学校(インファント・スクール)を設立して以降,各地に設けられるようになった。日本の場合,江戸後期に佐藤信淵が高2万石に6ヵ所の慈育館を設けるとの構想をたてた(《垂統秘録》)が,実現にはいたらなかった。…

※「幼稚園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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