保育(読み)ほいく(英語表記)child day care

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

保育
ほいく
child day care

乳幼児を適切な環境のもとで,健康・安全で安定感をもって活動できるように養護するとともに,その心身を健全に発達させるように教育すること。広義には集団保育と,家庭保育の両方を含むが,狭義には,集団保育の場である保育園所,幼稚園において,専門の教養を修め資格をもった保育者による乳幼児保護養育を称する。近年,核家族化や女性の就労など子供を取巻く環境の変化により,集団保育のニーズは高まっている。

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デジタル大辞泉の解説

ほ‐いく【保育】

[名](スル)
乳幼児を保護し、育てること。
乳幼児の心身の正常な発達のために、幼稚園・保育所などで行われる養護を含んだ教育作用。「三年保育

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百科事典マイペディアの解説

保育【ほいく】

一般に乳幼児期の教育をさす。1877年に東京女子師範学校(現,お茶の水女子大学)附属幼稚園規則中に初めて用いられた。この用語は,主に幼稚園保育所での養護・教育の意味で使用されてきたが,今日,家庭教育をも含めたより広い意味で使用されている。福祉施設である保育所と教育施設である幼稚園の一元化の問題,女性の社会進出に対応した時間外保育の保障等が課題となっている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほいく【保育】

乳幼児の保護・養育をいう。第2次大戦前には〈保育〉の語の用例として,皇室典範にいう〈天皇未タ成年ニ達セサルトキハ太傅(たいふ)ヲ置キ保育ヲ掌(つかさど)ラシム〉(26条)がしばしば引かれたが,保育の対象は一般には成年までではなく,学齢前の乳幼児である。乳幼児の人間的発達にとっては,適切な食事,排泄,睡眠という基本的活動や遊びなどを含む生活全体が,両親はじめおとなたちの保護と配慮の下におかれる必要があり,この保護・配慮が保育にほかならない。

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大辞林 第三版の解説

ほいく【保育】

( 名 ) スル
保護し育てること。育成すること。
幼児の心身の正常な発育を目的として、幼稚園・保育所・託児所などで行われる養護を含んだ教育作用。 「三年-」
林業で、幼齢林を目的の森林に育てるために行う下刈り・つる切り・除伐・間伐などの手入れ作業の総称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

保育
ほいく

生まれて間もない人を、保ち育てる営みのこと。一般に乳幼児期に対する行為を表すことばとして使用されている。また、保育とは、乳幼児の生命を護(まも)り保ち育てる、あるいは護り保たれるなかで育つ行為のことをいう。人の育ちに際して用いられる他のことばに「教育」があるが、「教育」が学舎における先人からの能動的な行為について使用されるのに対し、「保育」は子弟が学舎に向かうまでの期間に行われており、子どもの生命を受容する行為としてとらえられている。
 「保育」という語の日本での最初の使用は、1876年(明治9)東京女子師範学校(現、お茶の水女子大学)附属幼稚園の創設時とされている。このときの「保育」はそれまで日本に存在しなかった幼稚園という教育施設の内容や教育の方法を説明する際のことばとして用いられている。以来「保育」という用語の意味は、用いる者の価値観によってさまざまにとらえられており、その使用には時代的変遷がある。
 たとえば1906年に中村五六(ごろく)が著した『保育法』では、保育とは「幼児を保護養育するの意にして幼児教育の義に外ならず」とあり、保育と幼児教育は同義であるとし、幼稚園での教育を表すことばとして用いている。また第二次世界大戦後、幼稚園教育を学校教育法のなかに位置づけた坂元彦太郎(1904―1995)は、幼稚園教育を小学校課程の前段階の教育課程であると規程したうえで、両者はそれぞれ固有の課程をもつべきであるとして、幼稚園教育については「教育」ではなく「保育」を使用している。そして文部省(現、文部科学省)により1956年(昭和31)に『保育要領』が改訂されて『幼稚園教育要領』が作成されると、幼稚園教育に関しては「教育」「幼児教育」と表記される。また、「保育」ということばは、1965年に厚生省(現、厚生労働省)が作成した『保育所保育指針』において使用される用語となった。以来、「保育」は「教育」と対峙(たいじ)して使用されることがあり、幼稚園と保育所を区別する象徴的なことばとしても使用されることがある。しかし2014年(平成26)告示の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」では「教育及び保育」という表記が多く用いられ、「教育」と「保育」の両方の用語が使用され、幼稚園と保育所の機能をあわせもつことが示されている。このように近年では、行政の法令上は、教育と保育は完全に分けて使用されている。
 しかし保育が学際的な分野であることは多くの学者が指摘するところであり、今日では教育学や心理学、社会学のほか、医学や工学など多分野において保育に関する研究が進められ、分野横断型の新たな知見が多数生成されている。[宮田まり子・秋田喜代美]
『日本保育学会編『保育学講座1 保育学とは――問いと成り立ち』(2016・東京大学出版会)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

ほ‐いく【保育】

〘名〙
① まもりそだてること。特に、子どもが成長するまで育てること。ほういく。
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「欧洲大陸の諸国にて、樹林を保育する方法の一を察すべし」
※皇室典範(明治二二年)(1889)二六条「天皇未た成年に達せさるときは太傅を置き保育を掌らしむ」
② 幼児の心身の正常な発達を目的として、幼稚園・保育所・託児所などで行なわれる養護を含んだ教育作用。
※東京女子師範学校付属幼稚園規則(1877)「園中に在ては保母保育の責に任す」

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世界大百科事典内の保育の言及

【育児】より

… 学問的な知識は,そのままの形で育児の実践にもちこむことは難しい。学問を咀嚼(そしやく)して理解しやすい形にし,それを両親,保育者,その他育児にかかわる人たちに伝達することが必要で,効果的な育児情報の伝達手段を考えることも育児学の役割の一部分である。情報伝達の手段としては,書籍,雑誌,新聞,ラジオ,テレビ,電話などのマス・コミュニケーション・メディアも広く利用されている。…

【保育所】より

…今日の日本では児童福祉法(1947公布)による児童福祉施設の一つで,〈日日保護者の委託を受けて,保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設〉である。このような施設の起源は必ずしも明らかではないが,ふつう,1779年フランスのアルザス・ロレーヌでプロテスタント牧師オベルランJean Fréderic Oberlin(1740‐1826)が貧困家庭の子の昼間保育を始めたのが最初とされる。…

【保母】より

保育所,児童養護施設などの児童福祉施設で,一定の資格をもって子どもの保育に携わる女子職員。当初はナースnurseの訳語で子どものお守役というほどの意味であった。…

※「保育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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