値嘉郷(読み)ちかごう

日本歴史地名大系 「値嘉郷」の解説

値嘉郷
ちかごう

和名抄」に記される松浦郡内の郷。同書の高山寺本をはじめ諸本ともに「値嘉」とあり、訓は高山寺本に知賀、東急本に知加、名博本にチカ、元和古活字本に知加と付される。「肥前国風土記」松浦郡条に値嘉郷とみえ、郡の南西の海の中に位置し、烽が三ヵ所に置かれた。なお同書南葵文庫本では「烽家三所」とみえる。景行天皇が志式しじき島の行宮(現平戸市)にいたとき、西海に阿曇連百足を派遣して八〇余の島々を視察させているが、このうち人の居住がみられた二島、つまり小近おちか島には土蜘蛛の大耳、大近おおちか島には土蜘蛛の垂耳が住んでおり、これを討とうとしたところ、つねに贄を御膳として貢上することで誅殺を免れたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の値嘉郷の言及

【値嘉島】より

…現在の五島列島を中心とした歴史地名。《和名抄》に,肥前国松浦郡値嘉郷とあるが,古くは知訶,血鹿とも表記した。《肥前国風土記》には,〈遠けれど,猶,近きが如く見ゆ。…

※「値嘉郷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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