健部郷(読み)たけるべごう

日本歴史地名大系 「健部郷」の解説

健部郷
たけるべごう

和名抄」所載の郷で、同書高山寺本は達部とし、ほかは建部とするが、「出雲国風土記」に健部郷とある。「和名抄」の諸本とも訓を欠くが、タケルベかタケベであろう。風土記によれば出雲郡八郷の一つで、郡家の東一二里余に郷長の家があり、地名は初め宇夜うや里で、宇夜都弁命が鎮座していたことに由来するが、景行天皇が「朕が御子倭健命の御名を忘れじ」といって、出雲臣の支族神門臣古弥を健部と定め、当地に設定したので健部郷に改めたという。天平一一年(七三九)の出雲国大税賑給歴名帳(正倉院文書)によれば、郷内(ただし欠失部がある)に波加里がみえるほか、建部臣が多く、また建部首・語部君・日置部・物部などがみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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