武部(読み)たけるべ

精選版 日本国語大辞典 「武部」の意味・読み・例文・類語

たける‐べ【武部・建部・健部】

  1. 〘 名詞 〙 令制前の軍事的部民(べみん)一つ日本武尊(やまとたけるのみこと)の名を伝えるために設けられた名代(なしろ)として伝承する。出雲国建部郷があり、景行天皇が日本武尊の名代としたことが出雲国風土記に見える。
    1. [初出の実例]「因りて功名(みな)を録(つた)へんとして、即ち武部(タケルヘ)定む」(出典日本書紀(720)景行四〇年是歳(熱田本訓))

たけべ【武部・建部】

  1. 姓氏の一つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の武部の言及

【名代・子代】より

…《古事記》《日本書紀》では,〈子代〉を〈子〉がないため,その〈代りに〉置いたものとするが,〈代(しろ)〉とは名目あるものの実体・客体をさすことばで,〈子のために〉設定されたものとする方がよく,この点では宮の名を負う名代もおなじであろう。 記紀の伝承をみると,品遅部(ほむちべ)=垂仁天皇皇子誉津別(ほむつわけ)命,伊登志部(いとしべ)=垂仁天皇皇子伊登志別(いとしわけ)王,武部(たけるべ)=景行天皇皇子日本武(やまとたける)尊,葛城部(かつらぎべ)=仁徳天皇皇后磐之媛(いわのひめ)(葛城氏出身),軽部(かるべ)=允恭天皇太子木梨軽(きなしかる)皇子,刑部(おさかべ)=允恭天皇皇后忍坂大中姫(おさかおおなかつひめ),穴穂部(孔王部)(あなほべ)=允恭天皇皇子穴穂(あなほ)皇子などの例が記録される。これにつづく時代に,長谷部(はせべ)=雄略天皇(大泊瀬幼武(おおはつせわかたけ),泊瀬朝倉(はつせのあさくら)宮),白髪部(しらがべ)=清寧天皇(白髪大倭根子(しらがのおおやまとねこ)),勾部(まがりべ)=安閑天皇(勾金橋(まがりのかなはし)宮),檜隈部(ひのくまべ)=宣化天皇(檜隈廬入野(ひのくまのいほりの)宮),金刺部(かなさしべ)=欽明天皇(磯城嶋金刺(しきしまのかなさし)宮),他田部(おさだべ)=敏達天皇(訳語田幸玉(おさだのさきたま)宮)などが記録される。…

※「武部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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