偶発核戦争(読み)ぐうはつかくせんそう(その他表記)accidental nuclear war

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「偶発核戦争」の意味・わかりやすい解説

偶発核戦争
ぐうはつかくせんそう
accidental nuclear war

交戦意図はないのに,機械的・人為的ミスによって引き起こされる核戦争アメリカ合衆国ソビエト連邦の核戦略体制が全世界に及び,その作動は大幅にコンピュータ化されたために,誤作動故障による意図せぬ核戦争の危険が増大した。そのため,アメリカとソ連信頼醸成措置として 1963年ホット・ライン協定 (1971年,ホット・ライン改善協定) を結び,さらに 1971年には偶発的使用に対する技術的保障などを規定した「米ソ間の核戦争の発生の危険を削減する措置に関する協定」を締結した。その後も技術の高度化や意図的核戦争の可能性の低下によって,逆に偶発核戦争への関心は高まり,核危機軽減センターなどの設置が決められた。

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知恵蔵 「偶発核戦争」の解説

偶発核戦争

意図せざる核戦争。兵器システムの誤作動、隕石や民生用ロケットなどを敵攻撃と誤認する識別ミス、誤報判断の誤りなど、原因は多い。米ソ(ロ)間では、1988年より、核危機軽減センターを置くなどの措置を行ったが、偶発戦争危険性は冷戦後も減ってはいない。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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