傾蓋故のごとし(読み)けいがいこのごとし

故事成語を知る辞典 「傾蓋故のごとし」の解説

傾蓋故のごとし

ちょっと会っただけで、たちまち古くからの知り合いのように親しくなることのたとえ。

[使用例] この人はわたくしとも齢もあいくと云う位で、しかも史学を以て仕えている人である。わたくしは傾蓋ふるきが如きおもいをした[森鷗外*渋江抽斎|1916]

[由来] 「史記すうよう伝」に出て来る、当時のことわざ。紀元前二世紀、前漢王朝の時代。鄒陽という文人が、無実の罪で捕らえられ、死刑にされそうになりました。このとき、彼は獄中で文章を書き、「ことわざで『白頭も新の如く、傾蓋も故のごとし(白髪になるまで付き合っても、出会ったばかりみたいな間柄もあれば、車の傘を傾けてちょっと話しただけで、昔なじみのように感じる間柄もある)』というのは、お互いの気持ちをわかり合えるかどうかの違いです」と述べて、自分の本当の気持ちをわかってほしい、と訴えました。その甲斐あって、鄒陽は死刑を逃れることができたのでした。なお、「蓋」とは、当時の馬車などで、日差しや雨風を避けるためにつけていた傘。道で出会った人と話をするために車を近寄せて止めると、お互いの車に付けた傘が触れ合って少し傾きます。「傾蓋」とは、その状態を指しています。

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