白髪(読み)シラガ(その他表記)canities

デジタル大辞泉 「白髪」の意味・読み・例文・類語

しら‐が【白髪】

《上代は「しらか」か》
色素がなくなったために白くなった髪。はくはつ。「白髪が増える」「若白髪
昔、幼児の髪置きの祝いに長命を祈って用いたかぶり物。すが糸・麻苧あさお・真綿などで白髪の垂れた形に作る。しらがわた。
婚礼の祝いの贈り物に用いる麻または白絹の束。
白い絹糸。
[類語]白髪はくはつ銀髪

はく‐はつ【白髪】

白くなった毛髪。しらが。
[類語]白髪しらが銀髪

しろ‐かみ【白髪】

白い頭髪。しらが。しらかみ。
「降る雪の―までに大君に仕へまつれば貴くもあるか」〈・三九二二〉

しら‐かみ【白髪】

白い髪。しらが。しろかみ。

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精選版 日本国語大辞典 「白髪」の意味・読み・例文・類語

しら‐が【白髪】

  1. 〘 名詞 〙 ( 上代は「しらか」か )
  2. 白い毛髪。白くなった毛髪。はくはつ。
    1. [初出の実例]「吾が手元(たもと)まかむと思はむ大夫(ますらを)は変水(をちみづ)求め白髪生ひにたり」(出典:万葉集(8C後)四・六二七)
    2. 「今日明日とも不知(しら)ぬ身に罷成にたれば、此の白髪(しらが)の少し残たる今日剃て」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)
  3. 昔、小児の髪置きの祝いの時に、長寿を祈ってその子どもの頭にかぶせたかぶり物。絹のすが糸、あるいは真綿で、角子の下げ髪をつくり、それに末広松竹梅の造花をつけた。しらがわた。
    1. 白髪<b>②</b>〈大和耕作絵抄〉
      白髪〈大和耕作絵抄〉
    2. [初出の実例]「わかみやの御かた御くしおけあり。御ふく一かさね、御しらかの御なかこしらへてまいる」(出典:御湯殿上日記‐天正一七年(1589)一一月二二日)
  4. 婚礼のおくり物にする麻。長命であることを祈る気持から用いられる。ともしらが。
  5. 白い絹糸。
    1. [初出の実例]「上洛之御暇乞に先度御参上之砌、しらか過分に御給被成候」(出典:上井覚兼日記‐天正三年(1575)二月一二日)

はく‐はつ【白髪】

  1. 〘 名詞 〙 白い頭の毛。白くなった毛髪。しらが。
    1. [初出の実例]「或白髪反黒、或頽髪更生」(出典:続日本紀‐養老元年(717)一一月癸丑)
    2. 「白髪(ハクハツ)たる老翁来りて」(出典:源平盛衰記(14C前)一八)
    3. [その他の文献]〔抱朴子‐内篇巻一一〕

しろ‐かみ【白髪】

  1. 〘 名詞 〙 白い毛髪。年老いて白くなった髪。しらが。はくはつ。しらかみ。
    1. [初出の実例]「降る雪の之路髪(シロかみ)までに大君に仕へまつれば貴くもあるか」(出典:万葉集(8C後)一七・三九二二)

しら‐かみ【白髪】

  1. 〘 名詞 〙 しらが。はくはつ。しろかみ。
    1. [初出の実例]「老らくのしらかみまでに仕へきて今日の御幸に逢ふが嬉しさ〈源有房〉」(出典:新拾遺和歌集(1364)雑中・一七七四)

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改訂新版 世界大百科事典 「白髪」の意味・わかりやすい解説

白髪 (しらが)
canities

灰白色ないし白色化した毛は一般に白毛(はくもう)といい,白髪は頭毛の白毛化をいう。毛髪の色調は,毛母色素細胞のつくるメラノソーム(微小なメラニン顆粒)の性質や状態および毛髪角化細胞への取込み量に依存する。したがって,毛の白色化は色素細胞の数や機能の異常を意味する。白毛には大別して汎発性白毛と限局性白毛がある。前者は全身の毛の白色化で,白皮症(しらこ)や老人性変化,あるいは高度の尋常性白斑(しろなまず)等にみられる。強度の精神的ストレス後,短期間に白髪化する現象の報告もあるが,その機序は明らかでない。毛幹内への空気の侵入とする説もある。限局性白毛は皮膚の一部の毛の白色化で,尋常性白斑,円形脱毛症等でみられるものや,ぶち症等先天性に現れるものがある。なお若白髪と呼ばれるものは,若年者にみられる頭毛の白色化で,25歳前後で全頭毛の灰白色ないし白色化をきたすものをいう。常染色体優性遺伝であるが,男性に多い。また全身性疾患に伴い後天性に生ずることもある。治療は先天性,老人性変化によるものには根本的治療法はないので染毛剤の使用が有効となる。他疾患に伴うものは原病の治療を行う。なお白髪染については〈毛染〉の項を参照されたい。
執筆者:

平安時代の医書《医心方》では白髪を頭部病とし,アリストテレスは腐敗の結果,白髪になる(《動物発生論》)としているが,白髪の多くは老人性の変化で生理的現象であり,病的なものは少ない。高齢者に多いので,〈髪は灯心を戴たるやうの嫗(おうな)〉(《今昔物語集》)のように,白髪はしばしば老いを象徴し,〈志ら髪といひ老ぬるけにやことしあれば年のはやくもおもほゆるかな〉(《金槐集》上),〈年ごとに白髪の数をます鏡見るにぞ雪の友はしりける〉(《後撰集》八,冬)などの作例もある。《ヨハネの黙示録》1章14節には,世々限りなく生きている者は,〈そのかしらと髪の毛とは,雪のように白い羊毛に似て真っ白〉だったとあり,永遠なる者の象徴とされている。

 一方,電光が白髪頭を焦がすようにと呪いながら荒野をさまようシェークスピアのリア王の老いた頭を覆う白髪は,同時に苦悩や悲嘆を表している。地下牢の囚人ボニバールがうたうように,突然の恐怖や憤怒の結果,年余を経ずに髪が白くなることもある(バイロン《シヨンの囚人》)。ただしサルトルの《汚れた手》に,コミュニストの女性が一晩で白髪になったと恋人に告げるくだりがあるが,レオナルド・ダ・ビンチの庇護者ルドビコ・スフォルツァの髪が一夜で白くなった話と同様に誇張であり,現実にはありえない。江戸川乱歩の《白髪鬼》は5日間墓に閉じこめられて〈日頃自慢の濃い黒髪が,1本残らず銀線を並べたよう〉になった男の復讐譚(ふくしゆうたん)だが,これもまだ早すぎる。チャールズ1世が裁判を受けている間に白頭となり,マリー・アントアネットが幽閉中に白髪になったのは,現代中国劇《白毛女》の山にかくれた父を悲しんで白髪と化した少女の話と同様,その恐怖や悲嘆が長く続けばありうることである。自律神経系への刺激の結果栄養障害が起こって白毛になると考えられるが,すでにある黒髪が白変することはない。新しく生える毛髪が白毛であるか,黒髪が伸びる途中から白くなるのだから,髪が白く見えるにはかなり時間がかかる。〈白髪三千丈 縁愁似箇長(白髪三千丈 愁(うれい)に縁(よ)って箇(かく)の似(ごと)く長し)〉(李白《秋浦歌》其十五)。

 髪だけが白変するのではなく,すべての発毛域に白毛は生える。たとえば白い鬚のように一般には高齢の徴となるが,苦悩や悲憤を表すことはない。特殊な白毛に白毫(びやくごう)がある。手掌の基部を頤に当てたときに中指の先が触れる仏の額の部位にある白い毛で,右回りに渦巻いており,十方に計り知れぬ光を放って直視しがたく,光の中には無数の蓮華があってそのおのおのに化仏(けぶつ)が座り,その化仏もまた光を放ってその中に化仏の座る蓮華を含んでいるという(《往生要集》)。仏の三十二相の一つだが,《晋書王廙伝》によれば額の左や左耳に白毫のある人々がいたという。〈晋の時に仏ならでも白毫を吉相とせしを思へばいずれ異相を称美するにや又はこの時ころは既に仏法を信ぜしかば彼の妙相を仮って奇瑞としてかく言ひなせしもまた知るべからず〉(《類聚名物考》)。

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食の医学館 「白髪」の解説

しらがはくもうしょう【白髪(白毛症)】

《どんな病気か?》


〈髪の色素をつくる細胞の機能低下で起こる〉
 白髪(しらが)老化現象の1つで、髪の色素をつくる細胞の数が減ったり、その働きが低下することによって起こります。
 紫外線の浴びすぎや、血行不良、髪に必要な栄養素が不足するとさらに進行します。
 若白髪の場合は遺伝的傾向が強く影響しますが、ストレスも頭皮(とうひ)の血行を悪くし、進行を早める一因となります。

《関連する食品》


〈細胞の再生を促進し、健康な髪をつくるビタミンB2
○栄養成分としての働きから
 白髪の予防には、ビタミンB2ビオチンパントテン酸などのビタミンB群が有効に働きます。
 ビタミンB2は、細胞の再生をうながし、健康な髪をつくるビタミンで、ウナギやレバー、サバ、サケなどに多く含まれています。
 ビオチンも、健康な髪や皮膚を保つのに欠かせません。不足すると、疲れやすくなる、憂うつになるなどの症状が現れ、同時に白髪になったりします。レバー、イワシ、ピーナッツ、たまごなどに多く含まれています。また、腸内細菌によってもさかんに合成されているので、便秘しないよう整腸作用のある食品をとるよう心がけましょう。
 レバー、納豆、サケ、イワシに多く含まれるパントテン酸は、免疫力(めんえきりょく)やストレスに対する抵抗力をつけるビタミンで知られ、動物実験ではパラアミノ安息香酸(あんそくこうさん)(PABA)といっしょにとると、白くなりかけた髪を黒くする働きがあるといいます。
 パラアミノ安息香酸というのは、やはりビタミンB群の仲間で、葉酸(ようさん)をつくる構成成分です。パントテン酸の吸収を高める働きがあるほか、紫外線から髪や皮膚をまもってくれるので、シワなど肌の老化にも有効です。パラアミノ安息香酸は、レバー、牛乳、たまご、玄米(げんまい)に多く含まれています。
○漢方的な働きから
 なお漢方では、天日干しにしたツルドクダミの根が、白髪の予防薬として古くから用いられています。
 用法はツルドクダミの根を2週間ほど乾燥させます。細かく刻んで茶葉として使ってみましょう。

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普及版 字通 「白髪」の読み・字形・画数・意味

【白髪】はくはつ

しらが。唐・李白〔秋浦の歌、十七首、十五〕詩 白髮三千 愁ひに(よ)りて箇(かく)の似(ごと)く長し 知らずの裏(うち) 何(いづ)れの處にか秋霜を得たる

字通「白」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「白髪」の意味・わかりやすい解説

白髪【しらが】

毛根部でメラニン形成が停止し,白くなった毛髪。老人性白髪のほか,壮年性白髪(若白髪),先天性白皮症(白子)や,尋常性白斑(しろなまず)の病変部などに見られる。原因疾患の治療で回復することもあるが,治療困難なものは白髪染めをすることが多い。毛染剤のうち,よく用いられるp‐フェニレンジアミンは,その効果は持続的だが,適用時に地肌の炎症を起こすことがあるので注意を要する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白髪」の意味・わかりやすい解説

白髪
しらが
canties; polisis

白毛症。毛母色素細胞が産生するメラニン色素が欠乏し,毛髪が色調を失った状態。先天性の白髪は毛母色素細胞の欠如ないし高度の機能低下 (白子) によって起り,後天性の白髪は同細胞の機能低下ないし停止による。一般に加齢により増加するが,尋常性白斑,円形脱毛症,プリングル病,ウェルナー症候群などの基礎疾患があって二次的に生じる場合も多い。

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毛髪用語集 「白髪」の解説

白髪

髪の色はメラニン色素によって黒髪となる。加齢によって色素細胞の活動が弱まり、メラニンが減少することで髪の毛が白くなると考えられている。

出典 抜け毛・薄毛対策サイト「ふさふさネット」毛髪用語集について 情報

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