日本大百科全書(ニッポニカ) 「元詩選」の意味・わかりやすい解説
元詩選
げんしせん
中国、元代の詩の総集。3集からなる。清(しん)の顧嗣立(こしりつ)の編。初集は1694年、二集は1701年、三集は1720年刊。初集100人、二集・三集各102人、計304人の作品を各人の詩集から抄録したもので、詩人ごとに略伝を付し、考証、評語などを加えてある。各集はさらに甲集・乙集……と十干(じっかん)に分けられているが、最後の癸(き)集は目録のみで内容を載せていない。癸集は、詩集の伝わらぬ詩人の作品を扱うつもりが果たせなかったものらしく、のち1798年、席世臣(せきせいしん)により補刻されて完結した。元一代の詩を集めたものとしては最大の総集であり、もとの詩集がすでに失われたものもかなり収めてある。
[和泉 新]