光合成効率(読み)こうごうせいこうりつ(英語表記)photosynthetic efficiency

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「光合成効率」の意味・わかりやすい解説

光合成効率
こうごうせいこうりつ
photosynthetic efficiency

植物は太陽光をエネルギーとして,主に葉の中の葉緑体中で光合成を行なうが,その機構を光呼吸によって大別するとC3植物,C4植物,CAM植物に分けられる。C3型はすべての緑色植物が基本的に持っている機構で,光合成の初期産物が糖であり,イネ,ムギ類,マメ類,野菜類など現在栽培されている植物の多くがC3植物である。C4植物は,初期産物がリンゴ酸アスパラギン酸などC4ジカルボン酸で光呼吸が非常に低い。熱帯亜熱帯のように太陽光が強く,炭酸ガスが少ない地域で効率よく光合成が行なわれ,トウモロコシサトウキビなど大型のイネ科植物がC4植物である。 CAM植物は,ベンケイソウ型有機酸代謝 (CAM) を行なう植物で,乾燥地帯に適応したサボテンパイナップルなどがこれに当たる。C4植物の光合成効率は,C3植物の約2倍と高く,強い日射の下で,高温,乾燥条件に適応する能力を持つ。こうしたC4植物の能力をC3植物に持たせることができれば,飛躍的な増産を期待できることから,遺伝子工学などさまざまな手法を用いて,新種作りが進められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android