リンゴ酸(読み)リンゴさん(英語表記)malic acid

翻訳|malic acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンゴ酸」の意味・わかりやすい解説

リンゴ酸
リンゴさん
malic acid

オキシコハク酸ともいう。化学式は HOOCCH2CH(OH)COOH 。不斉炭素原子1個をもつので,D体,L体およびラセミ体の3種がある。 l -,D-リンゴ酸遊離の状態,または塩としてリンゴブドウなどの果実中に存在する。潮解性,無色の針状晶。融点 100℃。比旋光度濃度によって変化し,希薄水溶液たとえば 8.4%濃度では比旋光度は-2.3゜であるが,34%濃度では0°,70%では+3.3°となる。清涼飲料水の酸味に使われる。 d -,L-リンゴ酸は DL -リンゴ酸を光学分割して得られる。天然には存在しない。融点 98~99℃。 DL-リンゴ酸は融点 133℃の結晶。ハロゲンコハク酸をアルカリ加水分解すると生成する。酸の一次標準物質としてアルカリ標準液の標定に使用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンゴ酸」の意味・わかりやすい解説

リンゴ酸
りんごさん
malic acid

オキシカルボン酸の一種で、オキシコハク酸ともいう。化学式はHOOCCH(OH)CH2COOHで、分子量は134.09、不整炭素原子を一つもち光学異性体が存在するが、天然には左旋性のL-リンゴ酸がリンゴやブドウをはじめ種々の果実中に広く分布している。潮解性の無色針状晶で、水やエタノールに易溶、エーテルには難溶である。クエン酸回路TCA回路)の一員で、フマル酸からフマラーゼの作用で生成し、リンゴ酸デヒドロゲナーゼの作用でオキサロ酢酸になる。用途としては、清涼飲料水に酸味をつけたり、二ナトリウム塩が食塩に似た味を呈することから、腎臓(じんぞう)病患者のための無塩しょうゆに用いられる。

[飯島康輝]


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