最新 地学事典 「光学異常」の解説
こうがくいじょう
光学異常
optical anomaly
19世紀には,結晶の対称性は結晶の形態によっていた。測角の精度が上がると対称性の把握精度も上がった。しかし,偏光顕微鏡下での対称性は形態の対称性より低いことがあった(例えば光学的に等方性であるべき立方晶系のざくろ石・白榴(りゆう)石等が異方性を示したり,六方晶系の石英・電気石,正方晶系のベスビアナイト等が二軸性を示す等の例がある。D.Brewster(1815)発見)。そこで形態のほうが正しいと考え,光の現象は異常であるとされた。20世紀に入るとX線結晶学が登場するが,X線による対称性は形態の対称性と一致した。そこで光学異常という言葉が定着し,その原因は歪みに求められた。しかし,比較的低温で生じた鉱物では,Al/Si, Fe/Al, O―Hの方位などの秩序配列が成長面に対応する分域ごとに異なり,その対称性は形態のものより低いことが多い。すなわち,形態やX線解析で得られた対称性よりも,19世紀の偏光顕微鏡で得られた対称のほうが正しいことがわかってきた。光は結晶の対称性に敏感であり,X線は平均構造の対称性を示す場合が多い。したがって光学性のほうが異常であるとはいえない。近年,X線での解析の精度が上がり,光による対称性を説明できるようになりつつある。
執筆者:秋月 瑞彦・端山 好和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

