光謙(読み)こうけん

改訂新版 世界大百科事典 「光謙」の意味・わかりやすい解説

光謙 (こうけん)
生没年:1652-1739(承応1-元文4)

江戸前期の天台律僧。字は霊空,筑前の出身,17歳で叡山登り,ついで西塔の星光院に住したが,1678年(延宝6)妙立慈山の門弟となり,89年(元禄2)《闢邪篇》を著して天台の邪説である〈玄旨帰命〉を排撃した。93年輪王寺宮公弁法親王は叡山飯室谷の安楽院を律場とし,その住持とした。これが安楽院派のはじめで,幕府は寺領100石を与えた。また一紀十二年不出門遮那止観の顕密両業修学の祖式を興した。1723年(享保8)東叡山の浄名院をも律院とし,ついで日光山に興雲律院を始めた。《即心念仏義》《文句止観講録》《戒疏註集》等多数の著作をのこした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報