全ゲノム領域規模の遺伝子突然変異の解析

内科学 第10版の解説

全ゲノム領域規模の遺伝子突然変異の解析(遺伝子診断)

(5)全ゲノム領域規模の遺伝子突然変異の解析
 塩基配列決定に画期的な方法が開発された.次世代塩基配列決定法による全ゲノム領域規模の遺伝子突然変異の解析である.DLBCLと濾胞性リンパ腫(FL)の解析から,CREBBPとEP300の構造異常による不活性化が高頻度に生じていることが発見された(DLBCLで39%,FLで41%).CREBBPとEP300はいずれもヒストンと非ヒストンのアセチルアセチルトランスフェラーゼであり,シグナル伝達経路における転写共役因子として機能している.HATコードドメインの欠失や体細胞点突然変異が対立遺伝子の片方に生じており,HAT発現量の減少がリンパ腫発症に関与する可能性が考えられている.また,アセチル化を介したBCL6蛋白質の不活化とp53癌抑制遺伝子の活性化が特異的に障害されていることも明らかにされた.同様の研究は,急性白血病や多発性骨髄腫でも行われ,興味深い知見が得られている.[谷脇雅史]
■文献
Jaffe ES, Harris NL, et al eds: World Health Organization Classification of tumors. In: Pathology and Genetics, Tumor of Hematopoietic and Lymphoid Tissues, IARC Press, Lyon, 2001.
滝 智彦,谷脇雅史:造血器腫瘍の染色体検査(遺伝子検査)(Medical Practice編集委員会編), pp566-568,文光堂,東京,2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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