全生活史健忘(読み)ぜんせいかつしけんぼう

家庭医学館 「全生活史健忘」の解説

ぜんせいかつしけんぼう【全生活史健忘】

 解離症状(かいりしょうじょう)の1つで、自分の名前や年齢、生育史、家族など自分個人に関する記憶をすべて失ってしまうものです。多くの場合、本人に耐えられない大きなストレスがきっかけとなって突然生じます。大きな事故などが絡んでいる場合は、頭部外傷後の脳震盪(のうしんとう)などのための記憶障害も加わり、複雑な病状になることもあります。
 狭義には、純粋に心理的原因のみで生じ、自分に関連する病状だけを忘れているものをいいます。
 記憶の手がかりになるものに少しずつ接触させていくなどの方法で回復をはかります。比較的短期間で速やかに回復することが多く、再発することはまれです。ただし、精神的苦痛のために健忘を生じているのですから、記憶回復後、うつ状態希死念慮(きしねんりょ)(自殺願望)を生じることもあるので、家族は注意が必要です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の全生活史健忘の言及

【健忘】より

…ある特定の事柄(人物,場所,状況,外国語など)に限定した追想欠如を選択健忘といい,特定の外国語だけを忘れることもある。また,自分自身のことだけを忘れてしまい自分がだれかわからなくなる場合もある(全生活史健忘)。健忘は脳機能が急激に障害されて意識障害を生じた場合に起こりやすい。…

※「全生活史健忘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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