日本大百科全書(ニッポニカ) 「八幡(山形県)」の意味・わかりやすい解説
八幡(山形県)
やわた
山形県北西部、飽海郡(あくみぐん)にあった旧町名(八幡町(まち))。現在は酒田市の北東部を占める地域。旧八幡町は、1954年(昭和29)一条、観音寺(かんのんじ)、大沢、日向(にっこう)の4村が合併して成立。2005年(平成17)松山、平田の2町とともに酒田市に合併。旧町名は、877年(元慶1)石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)から市条に勧請(かんじょう)された八幡神社に由来する。地域の大部分は、鳥海(ちょうかい)山南麓(ろく)とそれに続く出羽(でわ)山地で占められ、西部は山地を横断して西流する日向川などによって形成された沖積地の庄内(しょうない)平野である。国道344号と345号が交差する。大型機械の導入など機械化の進んだ稲作農業や、県下有数の造林率を誇る林業、製材業が盛ん。八幡神社の近くにはキャンプ場を備えた八森自然公園や八森温泉がある。北部一帯の高原は鳥海国定公園に属し、鳥海高原家族旅行村の整備など観光開発に力を入れている。湯の台温泉もある。堂の前遺跡(どうのまえいせき)は平安時代の寺院跡と推定され国の史跡に指定されている。
[中川 重]
『『八幡町史』2巻(1981、1988・八幡町)』